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FIA-F3の2019年シーズンがいよいよ開幕。レッドブルジュニアの角田裕毅「最多勝でチャンピオンを獲る」

2019年05月10日 19:41  AUTOSPORT web

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2019年のFIA-F3にイェンツァーから参戦する角田裕毅
2018年、FIA-F4でチャンピオンを獲得し、今季レッドブル・ジュニアドライバーとしてFIA-F3に参戦する角田裕毅。初めてヨーロッパ行きの扉が開きかけたのは昨年の夏、富士で行なわれるFIA-F4のレース前だった。

「レッドブルがハンガロリンクで行なうテストに参加する機会をいただきました。そこには当時、ヨーロピアンF3で活躍していたダニエル・ティクトゥムも来ると聞いて、自分の実力を知ることができるいい機会だと思ったんです」

 最初にニュータイヤを履いたタイムではティクトゥムに100分の4秒差で負けた。しかし「ここまで迫れるなら勝たないといけない」と自分自身を奮い立たせた角田は、次のアタックで逆に100分の4秒差で上回ってみせた。

 数々のレースで優勝を飾り、タイトルを手にしてきた角田がこの結果は自信になったという。

「これまでうれしいという感情は持ったことがないんです。あまり感じないというか、やっぱりF1を目指しているので、いい成績を残すのは当たり前かなと。でも彼に勝てたことは少しうれしかったですね(笑)」

 つねに速さを追求し、自らを追い込んで行くというスタイルでここまで結果を残し続けて来た角田。以前、本誌のインタビューの際に、「ランド・ノリスに勝てる」という発言をしていたが、それは1年以上時間が経ったいまでも変わらない。

「ひと筋縄ではいかないですけど、同じクルマに乗れば最終的には自分が勝ちますよ」

 この揺るぎない自信と、研ぎ澄まされた速さが角田の武器だ。今シーズンの目標を「最多勝でチャンピオンを獲る」と宣言したその先には、F1に向けた強い意志を感じる。

■名取鉄平の弱みを補う名門カーリンのアドバンテージ
 カーリン・バズレーシングからFIAF3に参戦する名取鉄平だが、その決定はかなり急なものだったようだ。

「2018年11月にこの話をいただきましたが正直、驚きました。自分としては去年、FIA-F4でチャンピオンを獲ることができなかった。結果も内容も満足できるものではなかったんです。だから、今年もう一度F4で結果を出してからステップアップしたいと思っていました」

 昨年の結果に満足していなかったと話す名取だが、その理由は適応力にあった。2018年のシーズン前テストでは参加したメンバーのなかで一番遅く、それまでカート、スーパーFJと経験を積んできた名取にとって、F4のクルマは独特で慣れるまでに時間がかかったという。

「1レース目は様子を見て、2レース目で結果を出すという流れが多かった。瞬時にコースやクルマに応じることができなかったですね」

 適応力は名取にとって課題だ。だが、今年カーリンから参戦することで、その弱みを補うことができるかもしれない。チームのファクトリーにはシミュレーター設備がある。さらに名門チームのアドバンテージとしてカーリンにはさまざまなカテゴリーで得たノウハウがある。「語学面で少し不安もありますが、ホームステイをするので普段の生活のなかで勉強もしつつ、チームとしっかりコミュニケーションをとってやっていきたいです。まずは自分の力を最大限に引き出してチャンピオンを獲ることを目標に頑張ります。夢ですか? もちろんF1でチャンピオンを獲ることですよ」

3回のテストすべてにおいて苦戦している名取。本人も言っていた適応力の課題が露呈しているように見える。ここから開幕までにどれほど改善できるのか、開幕戦に注目だ。