社員や従業員が、日々の労働時間の長さや、始業と終業の時刻を決めることができるフレックスタイム制。労働者が必ず勤務しなければいけない時間帯「コアタイム」と、自身の選択により労働するかどうかを決める時間帯「フレキシブルタイム」を設定するのが一般的だ。通勤ラッシュを避けることができるほか、子どもの送り迎えや介護など家庭の事情に合わせて出退勤できるという点で、導入している企業も多い。
企業口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた、フレックスタイム制を導入している会社で働いている人々の口コミを見てみよう。
「前日に残業した分は、翌日遅めに出勤、早めに退勤することが可能」「時間調整しやすかった」
「フレックスだったので時間調整がしやすかった。そのため残業が多い時期と余裕がある時期を、みんな自分なりにバランスをとってやっていた」(事務管理、40代後半、女性、正社員、年収660万円)
「部署によってはフレックスや時差通勤も可能なため、プライベートの都合でフルで働けない人にも働きやすいと思います」(研究開発、40代後半、女性、派遣社員、年収400万円)
「フレックス制度があることにより、人より早い時間に来て早く帰るというようなことも可能である。全国から優秀な薬学系の学生が集まるため、『地元から引っ越し』→『職場の近くは家賃が高くて住めない』→『家賃の安い郊外の賃貸へ』→『電車通勤』となるが、フレックスをうまく利用すればラッシュの時間帯を避けて通勤することができる」(その他、30代前半、男性、正社員、年収500万円)
「フレックス制度が導入されており、前日に残業した分は、翌日遅めに出勤、早めに退勤することが可能です。社長が、残業を美化せず時間内に効率よく仕事をすることを提唱されており、残業している社員には自ら早く帰宅するようにと声をかけてくださる方でした」(代理店営業、20代前半、女性、正社員、年収240万円)
フレックスタイム制をうまく活用し、時間調整しながら働いているという口コミが見られた。自分で自由に出退勤時間を決められる分、時間管理や仕事の進め方も自己責任になるが、きちんと管理できればプライベートとのバランスは取りやすい。
また、社員が時間管理を意識することで、月の残業時間を抑えられる場合もある。社長自らが長時間労働の削減を意識し、社員に声をかけているという口コミも見られたが、フレックスタイム制を真に社員へ浸透させるためには、経営者や上司自らがリードし、職場の意識を作っていくことは重要だ。
制度はあっても「定時で来て定時で帰ると会社評価が下がる」
一方で、「制度はあるが使えない」という声も見られた。
「表向きは『休んでもいい。フレックスタイム制だから自己判断で帰れる』と言っているものの、定時で来て定時で帰ると会社評価が下がるので、プライベートは最小限です」(ディレクター、20代後半、女性、契約社員、年収326万円)
「フレックス制度は法律上設けているだけで利用はできませんでした」(技術関連職、20代後半、女性、正社員、年収460万円)
「フレックスタイムや在宅勤務やノー残業デーなどがあるが、現場には一切関係がない」(法人営業、20代後半、男性、正社員、年収340万円)
「フレックス制度や、在宅勤務などが導入されているので、上手く取り入れられれば良いが、なかなか使っている人は少ない印象。私のいた部署では休日も基本的にはパソコンは開いていて、海外旅行中も仕事用のパソコンは必ず持って行っていた」(財務・会計関連職、30代前半、女性、派遣社員、年収380万円)
制度はあるものの、「実際に利用すると評価が下がる」、そもそも「利用できない」「一切関係ない」といった口コミも寄せられた。制度を利用すると白い目で見られるのであれば、使いたくても我慢してしまう人が大勢いるだろう。制度を作った以上、社員が活用しやすい意識改革、雰囲気作りをしなければならない。
働き方改革が本格的に始動した今、フレックスタイム制は多様な働き方に対応できる1つの手段だ。社員や従業員が利用できるよう、企業は環境を整える必要がある。