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東京五輪のチケットサイト、なぜこんな事態に? 「転売防止への思いが裏目に出た」と識者

2019年05月10日 18:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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東京オリンピック・パラリンピックの観戦チケット抽選申し込みが、5月9日に始まった。受付は28日までで、6月20日に抽選結果が発表される。しかし、チケットが先着順と勘違いした人も多く、開始直後はサイトにアクセスが殺到。ページに繋がりにくい状態が続いている。

オリンピック組織委員会によると、9日は累計130万件のアクセスがあったという。10日13時過ぎに編集部がアクセスした際には、販売サイトにたどり着くための「ウェイティングルーム」で5万人待ち、サイトを開いてからの申込み・購入手続きで約9万人待ちだった。混雑状況は1日経ってもあまり変化していない。

「120秒以内に電話しないと無効」の謎「そこまでする必要があったのか」


申し込み者を更に煩わせているのが「電話番号認証」だ。観戦希望日時やチケット枚数を選んだ後、本人確認のために、指定された番号に電話をかける必要がある。番号が表示されて120秒以内にかけなければいけない決まりだが、繋がらない人が続出。ネットでは「オリンピックの電話番号認証で昼休み潰れた。チキショウめ!」「電話認証ができなすぎて腹立つ」など不満が噴出している。

ITジャーナリストの井上トシユキさんは、サイトの混雑や電話番号認証への不満などの混乱が起きた背景を「転売防止策を講じたのが裏目に出た」と分析する。

「ID登録や電話認証など複数のハードルを設けたのは、転売防止を一番に気にしたためと思われます。あえて面倒な手続きを踏ませることで、本当に買いたい人以外を寄せ付けないようにしたのでしょう。しかし、抽選制であることが十分に知られなかったため、尚更アクセスが集中しました。チケットの入手方法は『サイトを見て下さい』ではなく、積極的な広報をすべきだったと思います」

組織委員会がチケットの転売を気にしているのは「よく分かる」と理解を示すものの、対策については「緩急の付け方が下手」だともこぼした。

「すべてにきつい縛りをかけるのはどうなんでしょうか。緩くしても良いところは緩めておけば良かったのにという印象です。番号が表示されてから120秒以内にかけなければならない電話番号認証など、なぜ2分以内という短期間に設定したのか分かりません。そこまでする必要があったのか疑問です」

今後はシステムの増強や申込み期間の延長などを検討すべきだとも提案していた。

組織委員会「夜中や早朝などに試すのも有効。迷惑をかけて申し訳ない」

組織委員会広報局の担当者も、電話番号認証で不満が上がっていることは把握している。現在、サイト、電話番号認証共にアクセス改善に向け対策を検討中だ。

電話番号認証は「国内からの電話であれば繋がる」仕様で、トラブルの原因は未だ把握できていないという。ネットでは「固定電話のほうが繋がりやすい」という噂も流れているが、

「書き込みがあることは確認しましたが、繋がりやすさに差が生じる原因が把握できていないため、『固定電話のほうが繋がりやすい』とは言えません」

と回答した。担当者は、

「時間をおいてアクセスしていただくようお願いします。夜中や早朝など、一般的に空いていると考えられる時間帯に試していただくのも有効だと思われます。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません」

と話していた。