5月9日に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第6戦チリのシェイクダウン。この大会に3台のヤリスWRCで臨むTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナクが2番手、ヤリ-マティ・ラトバラが3番手、クリス・ミークが6番手タイムを刻み、本戦に向けて順調な仕上がりをみせた。
第5戦アルゼンチンと同様、南米大陸を舞台に争われるラリー・チリ。この2019年からWRCカレンダー入りを果たした1戦は、チリの森林地帯を舞台に、スピードの乗りやすいフラットな路面と中高速コーナーが続くグラベル(未舗装路)イベントだ。
大会スタート前、最後の走行機会となるシェイクダウンは、サービスパークが置かれるチリ中南部の都市、コンセプシオンの南側エリアが舞台。全長6.45kmのステージで行われた。
WRCのレギュレーションにより、シリーズに参戦するマニュファクチャラーはヨーロッパ以外での走行は禁止されているため、各チームのドライバーは、このシェイクダウンで初めてチリをWRカーで走ることになった。
また、ラリー・チリは前戦のラリー・アルゼンティーナと“リンクドラリー”に指定されているため、各チームはラリー・アルゼンティーナを戦ったマシンを整備した上でラリー・チリを戦わなくてはならず、動作確認にも重きが置かれた。
雨の影響もあり、時間を追うごとに路面コンディションがウエットからドライに変化していく難しい状況のなか、タナクは3回目のアタックで4分47秒4のベストタイムを記録。シェイクダウントップにつけたアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)と1秒差の2番手につけた。
チームメイトのラトバラもシェイクダウン3回目の走行で自己ベストを記録。タナクと0.2秒差の4分47秒6を記録した。
最終的に6番手に終わったミークも、ライバルが2度目のアタックを終えた段階ではトップにつけるなど、3台のヤリスWRCは本戦に向けて順調な仕上がりをうかがわせている。
「シェイクダウンは、ドライバーにとって初めてチリの道を走るチャンスだったから、本当に重要だった」とマキネン。
「走り始めの路面は濡れていて非常にトリッキーだったが、その後だんだんとドライになっていき、ドライバー全員が良いフィーリングを感じたようだ」
「何も問題は起こらず、あらゆる路面コンディションでいいタイムが出た。万事順調だと思うから、競技スタートがとても楽しみだよ」
タナクは「ゼロの状態から作ったペースノートで走る時は、完璧ではない部分もあり、大きなチャレンジだが、特に今回のような速いラリーではなおさらだ。ステージに集中し、良いフィーリングを感じて走らなければならない。今週末は、自信を持てるかどうかが戦いの鍵を握るだろう」とコメント。
ラトバラは「クルマのセッティングを大きく変える必要はなく、自分の中ではすべてがクリアになっている」と優勝争いに期待を込めたほか、ミークは「走行の合間にいくつかセッティングを変更したが、シェイクダウンを通してヤリスWRCはとても走りやすかった」としている。
ラリー・チリの競技初日となる10日(金)はSS1~6までの6SSで争われる。このうちSS1~5はコンセプシオン南側の森林エリアが舞台、SS6はコンセプシオンに設けられた全長2.2kmの特設コースが舞台となる。
全6SSの合計距離は125.27km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は600.53kmだ。