トップへ

小林賢二、3年前の“リベンジ”を果たすべくモナコ含むポルシェ・スーパーカップの3戦に挑戦へ

2019年05月10日 15:31  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

ポルシェ・モービル1・スーカーカップに挑戦を続ける小林賢二。今季は憧れのモナコに挑む。
世界各地で争われ、“最速のワンメイクレース”として長い伝統を誇るポルシェカレラカップ。その最高峰であるポルシェ・モービル1・スーパーカップに、今年もジェントルマンドライバーである小林賢二が3戦に挑戦することになった。

 ポルシェ・モービル1・スーパーカップは、各地で開催されているカレラカップの最高峰として、F1グランプリのヨーロッパラウンド、メキシコラウンドのサポートレースとして開催されているレース。この覇者になったドライバーはポルシェワークスにも起用されるほどだ。

 そしてこのシリーズの魅力のもうひとつは、第2戦でF1モナコグランプリの週末を戦えるというものだ。モータースポーツを愛する多くの人々にとって“モナコで走る”ことは憧れだが、公道レースである以上、それを叶えるためにはF1ドライバーになるか、FIA F2に出るかスーパーカップか、フォーミュラルノーに出るかしかない。

 長年国内外で、自身が大好きなポルシェを駆りさまざまなレースを戦ってきた小林賢二にとっても、モナコは憧れの地。ポルシェ、そしてアイルトン・セナに憧れた小林は、レースへの憧れをもちながら歯科医師に。埼玉県さいたま市緑区で、『こばやし歯科』を開業し、チームへのスポンサードも行いつつも、自らカレラカップをはじめWEC世界耐久選手権へのスポット参戦など、世界へ挑戦してきた。

 そんな小林は、2016年にヨーロッパで所属していたMRS GTチームからモナコ戦スポット参戦のオファーを受けた。資金面でそこまで余裕があるわけではないが、小林はモナコで走れるなら……とオファーを快諾。準備を整えた。しかし、いざヨーロッパへ向かおうかという前日、まさかの右目網膜剥離に見舞われてしまう。早期対応で網膜剥離は回復したが、“夢”はお預けとなった。

 それから3年経った2019年、ふたたびMRSからオファーが届いた。今回はモナコ以外にも2戦に参戦すれば……という条件だったが、小林は宿泊やエア等の手配を自ら行うなど予算を確保し、モナコ参戦、そしてシルバーストン、モンツァの3レース参戦へこぎ着けることになった。

「私のような個人ですが『ポルシェが好き!』『モナコを走りたい!』という気持ちでなんとかここまで来られました」と小林。

 ただ、これで実際にレースまで走りきれるか……というとそういうわけでもない。レースに出場するためには、予選でトップタイムの107%のタイムを出さなければならない。そうしなければ決勝に出場することはできないのだ。小林自身も以前スパでその憂き目にあったことがあり、またモナコでは例年、ジェントルマンドライバー数名が同じ思いをしている。

 モナコでは“練習”ができないことから、小林は現在ドライビングの師のひとりでもある織戸学が運営する130R YOKOHAMAのシミュレーターでトレーニングを積んでいる。今季モナコには、FIA F2に参戦する松下信治、そして小林のふたりの埼玉県在住ドライバーが挑む。その活躍を期待したいところだ。