開幕以来、苦戦が続くフェラーリ。しかしそんな状況でも、シャルル・ルクレールの評価は確実に上がっている。今回のインタビューでは、前戦アゼルバイジャンでのクラッシュについて自分から再三言及したことが非常に印象的だった。完璧主義者のルクレールにしてみれば、あんなミスを犯した自分自身がいまだに許せないのだろう。
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──開幕4戦を終えて、フェラーリはメルセデスに対し74ポイントも遅れを取っている。ウィンターテストの速さからしても、とても本来あるべき姿とは思えません。
シャルル・ルクレール(以下、ルクレール):もちろん、その通りだね。この状況を打開するには、チームが一致団結するしかない。そしてフェラーリは今まさに、その状態でスタッフ全員が必死に努力を重ねている。そんな精神論は、皆さんも聞き飽きたと思うけど(笑)。
より具体的な話をするなら、今後予定されているアップデートで戦闘力は着実にアップするはずだよ。そもそもマシンのポテンシャルでは、決してメルセデスには負けていない。それがたとえば前戦アゼルバイジャンでは、僕のバカげたミスで本来の実力を引き出せなかったりした。
──予選は確かにそうだったとして、レースではもっといい結果が出せたのでは?
ルクレール:ミディアムタイヤでスタートしたことは、結果的に決して有利にはならなかった。それは確かだ。しかしあの状況では、走り続けるしかなかった。もっと早くピットインしたら、次のソフトタイヤが保たなかったことは明らかだったんだ。
あとはセーフティカーが出るのを待つしかなかったけれど、あの時に限って波乱のないレース展開だった。
──今回、予定より早くスペック2のパワーユニットを投入します。
ルクレール:具体的な数字は聞いてないけれど、確実な性能向上を期待しているよ。
──サッカーのチャンピオンリーグでも、優勝候補がまさかの苦戦を強いられています。今のフェラーリはメルセデスに対して、いわば0-4の状態だと思います。挽回の可能性は、まだあると思いますか?
ルクレール:もちろんそう信じて、やっているよ。結果が出ていない状況だからこそ、浮き足立たないことが重要だ。マシンパッケージ自体は、決してメルセデスに負けているわけじゃないんだから。
その意味でも、ウィンターテストで速さを見せられたこのサーキットで勝つことが、今一番求められることだと思う。もちろんテストで速かったからといって、今週末も速いとは限らない。コンディションが全然違うし、開幕以降ライバルたちもクルマをどんどん進化させているしね。でもとにかく、ここは勝たないと。
■「バクーの予選では本当に愚かなミスを犯してしまった」
──開幕4戦を終えて、ここまでの自己評価は?
ルクレール:繰り返すけど、マシンの戦闘力は十分にある。バーレーンがそうだったようにね。でも僕自身もミスを犯したりして、それが結果に結びついてない。とはいえ全体としては、満足していると言っていいね。
──フェラーリに移籍後、チーム内のあなたの扱いに変化が生じたと思いますか?
ルクレール:どうだろう。少なくとも僕自身は、フェラーリのモーターホームに戻った時『帰って来た』と感じているね。スタッフがまるで家族の一員のように、僕を暖かく迎えてくれるからね。それがはたして今まで挙げてきた実績のおかげなのかどうか、僕にはわからない。でも居心地は、十分にいいよ」
──改めてバクーの予選でのクラッシュについてききますが、バリアを避けてエスケープゾーンに逃げることはできなかったんでしょうか。
ルクレール:ミスしたと思った時には、もう遅かった。ホイールはロックしてたし、避けられる状況じゃなかったね。
それ以前に、Q2であそこまでプッシュする必要があったのかという思いの方が、今は大きいね。適切な時期にプッシュをしなかったということも含めて、本当に愚かなミスを犯してしまったと思ってる。
──もし予選でポールポジションかフロントロウを獲得できたら、レースでも勝てますか?
ルクレール:難しい質問だね。メルセデスはレースペースも、かなりいいからね。