2019年05月10日 09:31 リアルサウンド
ゾンビには、走るゾンビと走らないゾンビがいる。ジョージ・A・ロメロが生み出した伝統的なゾンビ像では、ゾンビは走らない。だが、これまで数々のゾンビ映画やゲームが生み出されてきた中で、走るゾンビ像もまた多く登場してきた。
そして、今回紹介するオープンワールドゾンビサバイバルゲーム『Days Gone』の主役は、走るゾンビだ。この記事では本作の序盤を遊んだインプレッションをお届けする。
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■オープンワールド×バイク×ゾンビ
突然だが、世界はゾンビだらけになってしまった。残った数少ない人間は、簡素な砦を築き上げ小さなコミニティを作り暮らしているが、そこら中にいるゾンビやカルト信者の恐怖からは逃れられない。これが『Days Gone』の大まかな舞台設定だ。
バイカーである主人公のディーコンは、そんな終末世界で生き残るためさまざまな人の頼みを聞き、広大でゾンビだらけのアメリカを旅することになる。
本作はオープンワールド型のTPSであり、大きな特徴としてはゾンビの他にバイクがフィーチャーされている点にある。本作では広大なワールドを移動するのに主にバイクを用い、ゲームの効率を上げるためには主人公のレベル上げだけでなくバイクのカスタマイズが重要になってくる。
オープンワールドゲームで乗り物に乗れるのはなんら珍しいことではないが、潔くビークルをバイクだけに絞ったのはユニークだ。これが車では全力疾走するゾンビに追いかけられる恐怖は生まれない。
バイクという乗り手が丸出しになる乗り物だからこそ、本作には移動中すらも独特の緊張感が生まれているのだ。さあ、ゾンビの跋扈する世界へバイクで颯爽と飛び出そう。
■群れとしてのゾンビの恐怖
ゾンビを題材としたゲームはタイトルを挙げるまでもなく多数存在しているが、そんな中で本作のゾンビは群れをなしていることが大きな特徴となっている。
もちろんゾンビといえば大勢いるのが一般的なイメージだが、『Days Gone』のゾンビ(フリーカーと呼ばれる)は暗く狭い場所に、私たちの想像を超えるレベルで“たくさんいる”。
はじめてフリーカーの群れと遭遇したときの驚きと恐怖は、ぜひプレイ動画ではなく実際のゲームプレイで体験してほしい。
『デッドライジング』シリーズなどもゾンビの大群と戦うタイトルだが、『Days Gone』のゾンビは前者と比べてずっと手強く、数は多けれどそう簡単に“無双“することはできない。
■決して雑魚敵ではないゾンビ
本作におけるゾンビ=フリーカーは、本当に手強い存在だ。ゲーム序盤では満足に銃弾も手に入らないため、遠距離射撃だけで大群のゾンビを片づけるのは不可能に近いのだが、逆に近接攻撃も多勢に無勢の状況ではあっという間にやられてしまう。
なのでスキルや装備の整っていない序盤では、フリーカーの大群に遭遇したプレイヤーはバイクに乗って逃げることしかできない。
初めのうちはゾンビを倒しきれない不能感にストレスを感じるかもしれないが、ホラーというよりはパニック映画的にゾンビを楽しむ体験としては素晴らしい。何十体、何百体ものゾンビに追いかけられながら荒野を疾走するなんて体験は、きっとこのゲームでしかできない。
■充実したフォトモード
オープンワールドゲームといえば作品の世界観に没入し、どこまでも自由にゲームをプレイできるのが大きな魅力なわけだが、本作では自分だけの旅の記録を残せるフォトモードも機能が充実している。
焦点距離・絞りなどといったレンズ選択やフレームなどはもちろんのこと、より詳細な調整もできるようになっている。
フォトモードはゲーム中ほぼ全ての場面でスタートボタンから移行できるため、良い写真を撮りたい方は「シャッターチャンス!」と思ったら反射的にスタートを押すのをオススメしたい。
■組み合わせの魔力で生まれた新しいゾンビゲー
『レッド・デッド・リデンプション2』のような生活やサバイバルそのものを楽しめるゲームだと期待して遊ぶとやや肩透かしを食らってしまうが、本作はゾンビもののゲームとして間違いなくオリジナルな体験を与えてくれるだろう。
6月の無料アップデートでは新たな難易度の追加や、追加チャレンジなどの新要素でますますボリューム満点になる『Days Gone』。『バイオハザード』とも『デッドライジング』とも違うゾンビゲーの世界に浸ってみたくはないだろうか?
(脳間寺院)