労務行政研究所は5月8日、2019年度新入社員の初任給に関する調査結果を発表した。調査は今年3月下旬、東証一部上場企業2040社を対象に実施。4月9日までに回答が得られた241社の速報値をまとめた。
全ての学歴で初任給を引き上げたのは35.7%。「全学歴引き上げ」の割合は、2018年度の速報集計時の39.7%から4.0ポイント低下した。一方、全ての学歴で前年度と据え置いた企業は57.3%で、昨年度速報集計時の52.3%から5ポイント上昇している。
学歴別の初任給水準は、大学卒で21万2304円、大学院卒修士が22万9951円、短大卒が18万2184円、高校卒が17万505円となった。前年度の初任給と比較した上昇率は高卒の0.9%が最も高く、大学卒と修士が0.7%、短大卒が0.8%だった。
短大卒向けに3万4000円アップした企業も
製造業と非製造業で分けて見ると、全ての学歴で引き上げた製造業は46.9%と半数近い。非製造業は22.5%で、製造業と20ポイント以上の差がついている。
学歴別の引き上げ率・引き上げ額を見ると、初任給の引き上げ率が最も高かったのは「高校卒」で45.5%。その後「修士」(42.6%)、「大卒」(42.1%)、「短大卒」(39.2%)と続く。引き上げ平均額は修士の3631円が最高で、短大卒(3603円)、大卒(3511円)、高卒(3283円)と続いた。最高引き上げ額は短大卒の「3万4000円」だった。
大卒の引き上げ額は「1000円台」が最も多く44%。「2000円台」の13.3%、「3000円台」の10.7%と合わせ、1000円~3000円台に昇給額が集中している。「1万円以上」の引き上げを行った企業は12%で、最高引き上げ額は1万7800円だった。
初任給の引き上げは、リーマンショックの影響を受けた2009年度に、前年度の32.7%から大きく低下し6.4%となった。2013年までは1 割未満の低い割合が続いたが、2014年度は輸出産業を中心に業績が回復。デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に、23.2%まで上昇した。過去10年で引き上げた企業が最も多かったのは2015年度で、39.9%が引き上げを実施している。