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茂木健一郎の受験勉強論「対策ドリルばかりだと、進学実績はのびない」「地頭をつくって、最小限の受験対策を」

2019年05月08日 12:50  キャリコネニュース

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脳科学者の茂木健一郎さんは5月8日、ツイッターで受験勉強のあり方について語った。茂木さんは、ペーパーテストの点数で入試が決まる大学への対策として、「受験勉強やその技術だけをやるのは経験的に効果的ではないことがわかっている」と説明。その上で、

「実際、進学校ほど、受験対策だけの授業はほとんどやっていない。むしろ、生徒たちが、『こんなに受験対策しないでだいじょうぶか』と不安になるくらいに、徹底的に基礎的な、論理的に考える訓練をした方が、結果として進学実績もよくなる」

と持論を展開した。

「いつ役にたつか不明。でも考える。取組む。脳の基礎トレが、入試の結果に繋がる」

「地頭をつくった方が、その上に積み上げられる進学という果実も増える」という。逆に、最初から受験対策でドリルばかりやっていても進学実績も伸びないという。

ドリルばかりやるような教育が実施されている学校の生徒から、「学校がつまらない」「砂を噛むようだ」という感想がかえってくるという。「ペーパーテストの点数で決まる入試の是非は別」と述べた上で、

「今後もそのような体制がある程度続くのならば、最適戦略はまずは地頭をつくって、その上で最小限の受験対策をすることだということになる。つくった地頭は、受験という文脈を離れても役に立つ」

とコメントした。地頭があれば、大学に合格することはもちろん、「そのあとの人生における伸びしろが違う。地頭重視は、勉強が『役に立つ』という軽薄な視点を超えている」と説明。

「いつ役にたつかわからない。でも考える。取組む。そのような脳の基礎トレーニングが、結果として(是非は別として)入試の結果にもつながり、より広い文脈にも応用できる。地頭は、遅れて役に立つ、一生役に立つのである」

"灘高 伝説の国語教師"も「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなります」

ちなみに卒業生のほぼ半数が東京大学に進学すると言われる灘中学校・高等学校(兵庫県神戸市)では、かつて中学3年間をかけ、中勘助の小説『銀の匙』をスローリーディングする授業を行っていた。教え子には東大総長、最高裁事務総長、作家の遠藤周作さんなど多岐にわたる。

その授業を行った"伝説の国語教師"橋本武さん(2013年逝去)は中高生向け受験サイト「WILLナビnext」で、授業が成功した理由について「生徒に自分で調べ、考えさせたことです」と語っていた。また別のサイトの取材には「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなります。自分で興味をもって調べて見つけたことは一生の財産になります」という。