メルセデスは、F1アゼルバイジャンGPでルイス・ハミルトンがバーチャルセーフティカー(VSC)出動によりタイムをロスした問題について、ドライバーのミスではなく、複数の要素が絡まって発生した出来事であると説明した。
2019年F1第4戦アゼルバイジャンGP決勝で、VSC導入後、ハミルトンはリーダーのバルテリ・ボッタスとのギャップにおいて2秒をロスしたと訴えていた。
レース終盤、VSCが出動する直前、ボッタスとハミルトンの差は2秒だったが、残り10周の時点でレースが再開された時にはギャップが3.5秒に広がっていた。
レース直後、ハミルトンは自分のミスでタイムを失ったと発言していた。しかしその後、メルセデスのストラテジストであるジェームズ・ボウルズは、ステアリングホイール上の情報表示等が完璧ではなかったと説明した。
「レース終盤のVSCの際に、ルイスがバルテリとのギャップにおいて約2秒を失った。それが優勝争いに関して重要な役割を果たした可能性がある」とボウルズ。
「VSCが終了する際、ドライバーはダッシュのスクリーンに通知を受ける。何を表示させ、何を表示させないかは我々がコントロールすることができる」
「ルイスに対し、多数のスイッチ切り替えを指示した。それはマシンをより効率のよいモードに入れるための通常の作業だ。しかし多数の変更を行ったことで、彼はデルタタイムの数値を見失った」
ボウルズは、VSCが終了した際のコース上の位置に関してもハミルトンは不利だったと語った。
「問題の原因となった要素は他にもある。ストレートにいれば──たとえばターン16からのロングストレートなどにいた場合──、VSCが終了した時には、スロットルを開けていけばいい」
「だがルイスはそうではなかった。彼はブレーキングゾーンにいた。最も難しい状況といってもいい。デルタタイムにおいてどの位置にいるべきかを調整し、 VSC後のリスタートに備えるのは簡単なことではない」
「こういう要素すべてが重なって起きたことであり、ルイスがミスをしたのではない。コース上の彼の位置、多数のスイッチ切り替えにより、実際のデルタタイムが不明瞭になり、彼は約2秒を失った」
同じ問題が再発することを避けるため、メルセデスは、スペインGPから、ダッシュ上の表示について修正を行う予定だという。
「バルセロナに向かうにあたり、ダッシュのディスプレイについて改善を図ることが可能だ」
「VSC出動時にどこを走っているかは運に左右される。残念ながらそれは今後も変わらない」