ブランパンGTシリーズ第2戦として開催された『ブランパンGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ第1戦』は5月5日、イギリスのブランズハッチで決勝2レースが行われ、レース1をAKKA ASPチームの89号車メルセデスAMG GT3(ニコ・バスティアン/トーマス・ノイバー組)が制した。また、同日に行われたレース2ではブラックファルコン4号車メルセデスAMG GT3(ルカ・ストルツ/マーロ・エンゲル組)が優勝している。
雨模様となった前日の予選から一転、曇り空ながらドライコンディションで迎えた決勝レース1は、そのスタート直後にブランズハッチでは珍しくない1コーナーでのアクシデントから始まった。
4番手からスタートしたオレンジ1 FFFレーシング・チームの563号車ランボルギーニ・ウラカンGT3と7番手から好スタートを決めたアテンプト・レーシングの55号車アウディR8 LMSの接触に端を発し、55号車アウディとフェニックス・レーシングの5号車アウディR8 LMSのクラッシュにつながったこのアクシデントにより、レースはいきなりセーフティカー(SC)が導入される。
マシン回収が終わり6周目にリスタートが切られると、予選ポールシッターのストルツ操る4号車メルセデスを先頭にGRTグラッサー・レーシング・チームの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3、89号車メルセデスがグリッド順位どおりに続いていく。
なお、4番手から5番手にポジションを下げた563号車ランボルギーニのアンドレア・カルダレッリには、リスタート直後に接触行為に対する60秒ストップペナルティが課され、チームはこのペナルティの消化後にマシンをガレージに収めてしまった。
レース中盤、上位3台が互いに1秒以内をキープしたまま、レーススタートから25~35分の間に設けられた“ピットウィンドウオープン”を迎えると、まずは2番手の63号車ランボルギーニが動き16周目にミルコ・ボルトロッティからクリスチャン・エンゲルハートにドライバーチェンジをしていく。
17周目、トップの4号車メルセデスもピットインしストルツからエンゲルに交代。素早いピットストップで首位の座を守ってみせる。
しかし、18周目に89号車メルセデスがピットストップを終えてコースに復帰すると、オーバーカットを成功させた89号車がトップに。4号車メルセデスが2番手、63号車ランボルギーニは3番手となって後半戦を迎えた。
ピットアウト後にトップに浮上したノイバーは、今レースがブランパンGTシリーズデビュー戦となった19歳のフランス人だ。この若きドライバーはシルバーランクながら、後方からプレッシャーをかけてくるストルツを相手に一歩も引かない走りをみせる。
トップを争う両車は一時、テール・トゥ・ノーズ状態まで接近するものの、そこからノイバーが気迫の走りでストルツを引き離し、そのままトップチェッカー。89号車メルセデスは、シルバーランクドライバー同士がペアを組むシルバーカップ車両ながら総合優勝を飾ってみせた。2位はポール・トゥ・ウインを逃した4号車メルセデス、3位には63号車ランボルギーニが続いた。
■レース2は3メーカーが表彰台を分け合う
レース1の終了から3時間25分後にスタートが切られたレース2でも、オープニングラップの1コーナーでアクシデントが発生した。マーカス・ウィンケルホックがドライブするサンテロック・モータースポーツの26号車アウディR8 LMSが大きくコースを外れ、グラベルでストップ。リタイアとなってしまう。
その間もレースはイエローフラッグ振動のみで続行され、ポールスタートのAKKA ASPチーム90号車メルセデスAMG GT3を先頭にアテンプトの55号車アウディR8 LMS、レース1で2位となった4号車メルセデスがトップ3オーダーを形成していく。
その後方ではスタートから9分後、フェニックス・レーシングの11号車アウディR8 LMSとリナルディ・レーシングの333号車フェラーリ488 GT3が接触してスピン。これに後続車が巻き込まれる形で多重クラッシュが発生した。
このアクシデントによりフルコースイエロー(FCY)が導入されると、レースはスタートから18分後にSCランを経て再スタートとなり、この直後からトップの90号車メルセデスが2番手以下を引き離していく。
中盤のピットウインドウオープンでは、3番手を争う4号車メルセデスとAKKA ASPチームの88号車メルセデスAMG GT3が同時にピットに戻るが、ポジションは変わらず。一方、2番手を走る55号車アウディは4号車と88号車に加えて、カルダレッリ駆る563号車ランボルギーニにも先行を許してしまう。
また、首位の90号車メルセデスはスタートから31分後にピットに戻るも、ドライバー交代に時間がかかってしまい8番手までドロップする。これにより、4号車と88号車という2台のメルセデスがトップ2を形成し。563号車ランボルギーニが3番手、55号車アウディが4番手となった。
レース後半はストルツの4号車メルセデスが独走状態に。結局、その後も危なげない走りをみせたブラックファルコンが、レース1のリベンジを果たすトップチェッカーを受け今季初優勝を飾った。2位はマルコ・マペッリ、カルダレッリ組の563号車ランボルギーニ、3位には55号車アウディが入り、表彰台に3メーカーが並ぶこととなった。
なお、レース中盤に2番手を走行していた88号車メルセデスは、チェッカーまであと15分となったタイミングで突如コース脇にマシンを止めてしまいリタイアに。今季、ベントレーからメルセデス陣営に移籍してきたビンセント・アブリルは移籍後初の表彰台を逃し、頭を抱えた。また、ポールシッターの90号車メルセデスはフィニッシュまであと2分というところでボンネット内部から白煙を上げてストップ。こちらも6番手を走行しながら悔しいリタイアとなっている。
ブランパンGTワールドチャレンジ・ヨーロッパとエンデュランスカップの2シリーズからなる“ブランパンGTシリーズ”の次戦第3戦は5月11~12、イギリス・シルバーストンで行われるエンデュランスカップ第2戦シルバーストンだ。