ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が経験したMotoGP第4戦スペインGPは、激しく強烈なものだっただろう。予選ではセンセーショナルなポールポジション獲得。そして、決勝レースでは2番手走行中のマシントラブルによるリタイア。クアルタラロを表彰台から引きずり下ろした原因は、ギヤシフターだった。
スペインGPの予選でポールポジションを獲得したのは、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)でもミッション・ウィノウ・ドゥカティのふたりでもなく、ヤマハのサテライトチーム、ペトロナス・ヤマハSRTのクアルタラロだった。
MotoGPルーキーのクアルタラロは1分36秒880を叩き出し、ポールシッターとなった。クアルタラロはこのポールポジション獲得により、マルケスがそれまで保持していた、ポールポジション獲得の最年少記録を更新。20歳14日でのポールポジション獲得だった。
ちなみにフロントロウ2番手に並んだのは、クアルタラロと同じくペトロナス・ヤマハSRTのフランコ・モルビデリ。モルビデリはMotoGP参戦2年目ではあるが、彼にしてもチーム移籍1年目。ホンダからヤマハのマシンに乗り替えてのシーズンだ。MotoGPの若いライダーふたりが躍進した予選だったと言えるだろう。
迎えた決勝レースでも、クアルタラロは気を吐いた。序盤から抜け出したマルケスを2番手で追っていたのは2番グリッドからスタートしたモルビデリ。しかし、クアルタラロは3番手でペースを維持しながら周回を重ねると、11周目にモルビデリを交わし、2番手に浮上してマルケスを追った。
クアルタラロを不運が襲ったのは14周目だった。ストレートで突如失速したクアルタラロ。加速しないマシンとともに、そのままピットに戻るとリタイアとなった。表彰台圏内を走行中に起きた、まさかの事態だった。原因はギヤシフターのトラブルだったという。
しかし、クアルタラロは天国と地獄の両方を味わったようなこの週末について、前向きにも受けとめている。
「がっかりもしたけれど、同時に満足もしている。レースはとてもよかった。バイクの感触もすばらしく、ギヤシフターのトラブルが発生するまで、トップライダーたちとすばらしいレースができたんだ。トラブルはとても小さなものだったけれど、その影響は大きくリタイアせざるをえなかった」
「一方で、今週末にはとても満足しているんだ。今後のレースでも同じように続けていきたいよね。チーム全体としてすばらしい仕事をしたけれど、このスポーツでは制御しきれないことだって起こる」
「シーズン開幕前には、僕たちの誰も、4戦時点で表彰台争いをしたり、ポールポジションを獲得したりするなんて期待していなかった。だから、ここまでやってきたことを満足に思うべきなんだ」
決勝レースで悲運に見舞われたが、同時に自信をも手に入れたクアルタラロ。次戦、母国のフランスGPに乗り込む。