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『あなたの番です』は再びミステリーへと立ち返る “交換殺人ゲーム”に大きな動きの予感

2019年05月06日 12:21  リアルサウンド

リアルサウンド

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 爆発によって死んだブータン料理店の店長の本名が、藤井(片桐仁)が探していた“タナカマサオ”だったことを知り、菜奈(原田知世)と久住(袴田吉彦)は早苗(木村多江)の部屋を訪ねる。そこで菜奈は、ひとつの仮説を唱える。ドクター山際の死の直後から藤井のもとに届けられた“あなたの番です”の脅迫と同じように、山際を殺した犯人(犯人Bとされていた)は管理人を殺した犯人(こちらは犯人Aだ)に脅されていたのかもしれないと。5日に放送された日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です』第4話は、まだ謎を解き明かすには足らないがあまりにも多くの伏線を散りばめ、二転三転する“交換殺人ゲーム”で視聴者を翻弄していく。


参考:場面写真はこちらから


 今回のエピソードで起きた動きを整理すると、“タナカマサオ”が殺されたことで自分の番がやってきたシンイー(金澤美穂)の元には、例によって“あなたの番です”と書かれた包丁が届けられ、同居人とともに手元にある紙に書かれた名前を確認する。一方、またしても行
われた住民会では、洋子(三倉佳奈)が自分で自分の名前を書いたことを告白。そこにゲー
ムの参加者ではない木下(山田真歩)が現れたことで、全員が誰の名前を書いたか明かすこ
とはなかったものの、浮田(田中要次)と菜奈、洋子、そして沙和(西野七瀬)の4人は自分が引いた紙に書かれていた名前を教えあうことになる。


 浮田が引いた紙に書いてあったのは「赤池幸子」。502号室の赤池美里(峯村リエ)の姑であり、それを書いたのは美里であることを察した浮田は、彼女が幸子(大方斐紗子)を殺そうとしているのではないかと考えるわけだ。そして今回のクライマックスへとつながる。赤池の部屋で起きた惨劇。部屋に踏み込んだ翔太(田中圭)たちが見たのは、食卓で殺されている赤池夫婦と、頭にビニール袋を被せられながらも生きている幸子の姿だった。


 直前のシーンで浮田の部屋の面々が黒い服をまとって何処かへ行こうとしている姿が映し出されたが、彼らは同じような動きをドクター山際の死の直前にもしていただけに、おそらくこの件とは関係がないとみてもいいかもしれない。また、ルールに則ればシンイー(とその同居人)が手を下す番なので、シンイーが引いた紙に赤池夫婦(もしくは一家全員)の名前が書かれていたと考えるのが妥当であろう。しかしながら、ケーキの板に書かれた名前が変わっていたことから考えるに、はたして日本語が決して自由ではない彼らがあえてそうするのかという疑問が残るところだ。


 暗闇の中で窓から侵入し、音楽を流し、凶行に及ぶ。先週は「これから誰かを殺さなくてはいけない」人物の姿をサスペンスとして描き、見えない脅迫者の存在がミステリーの要素になったこのドラマではあるが、再び「誰が殺したのか」というミステリーへと立ち返ったように思える。シンイーたちなのか、浮田たちなのか。それとも赤池家に出入りしていた404号室の江藤(小池亮介)もその可能性を秘めているが、彼はゲームには参加していない。いずれにしても、“交換殺人ゲーム”の標的がキウンクエ蔵前の内部に戻ってきたことによって、ゲーム全体に大きな動き、いや、ある種の“揺らぎ”があらわれ始めているような予感がしてならない。


(文=久保田和馬)