2019年05月06日 09:41 弁護士ドットコム
18歳以下の子どもの自殺は、夏休み明けの9月1日が最も多く、春休み明けの4月上旬と続きます。そして、その次に多い時期が「GW明け」だと知っていますか。
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「新年度、学校に居場所がなくなった」、「部活がきつい」、「死にたい」ーー。不登校・ひきこもりの声を伝える専門紙「不登校新聞」(発行元・NPO法人全国不登校新聞社)編集長の石井志昂さんは、「今年はGWの前から相次いで子どもたちのSOSが寄せられました。例年にはないことです」と危機感を抱いています。
石井さんは「子どもが辛そうにしていたら、『明日は休もう』と親が『ドクターストップ』をかけて欲しい」と呼びかけます。
ーー休み明け、学校に行くことにプレッシャーを抱える子どもたちがいます。
学校はなんだか居心地が悪い。友達ともうまく行かない。前々から潜在的に「学校に通いたくない」と思っていた子どもたちが、長期休みをきっかけに、学校に足が向かなくなるケースはとても多いのです。
2017年度、小・中学校における不登校児童生徒数は、14万4031人でした。統計開始以降、過去最多を更新し、5年連続で増加しています。
また、日本財団が2018年10月、中学生を対象に行ったインターネット調査では、教室外登校や心の中で学校に通いたくないと思っているなど「不登校傾向にあると思われる中学生」は10.2%にのぼり、推計で約33万人いるとの結果が出ています。
いじめも不登校も、どの子にでも起こり得ることです。
ーー子どもの様子が何だかおかしい。GW明け前後にそんな異変を察知したら、親はどうすればいいのでしょうか。
連休中の子どもの様子をよく覚えておくことが大事です。連休中は元気に遊んでいても、6日の夕方以降から7日朝にかけて、いきなり元気がなくなるのはよくあること。
「連休に遊びすぎたから、こんな風に体調不良になる」、「サボりぐせがついた」。そう勘違いしやすいところですが、頭やお腹が痛くなったり、イライラしたり、まず体からSOSが出るものです。
子どもたちは、言葉ではなかなか学校を休みたいと伝えてくれません。その壁を超えて「休みたい」と言ってくる場合は、限界ギリギリのSOSだと思います。
ーー突然のこととなると、休ませていいのか迷ってしまう親も多そうです。
子どもが登校拒否や不登校になった親御さんは、皆「うちの子が、まさか行かなくなるなんて」と話します。ですが、誰にでもあることだと思って欲しいです。
親が「無理しないで休んだらいいんだよ」と伝えると、子どもも気持ちに余裕が出て、数日経てばころっと学校に行ったりする事例もよく聞きます。学校には、子どもの側に立ち、「ちょっと行かせられる状況じゃないので休ませます」と伝えれば良いと思います。
本人が深刻な悩みを抱えていた時には、休む日が長引くこともあります。自分の子育てや対応を責める親御さんは多いですが、子どもから発されたSOSを専門機関に伝えるのが自分の役目だと割り切ってください。
どうか親御さんは「自分が解決する」と気負わず、抱え込まないようにしてください。戸惑ったまま、以下のような不登校にくわしい団体や子どもの人権に関する相談窓口などに連絡をしてもらえればいいと思います。
・NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」 http://www.futoko-net.org/
・法務省「子どもの人権110番」(平日8時30分~17時15分) 電話:0120-007-110
・弁護士会の子どもの人権に関する相談窓口一覧 https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/child_rights/contact.html
・18歳までの子どもたちのための専用電話「チャイルドライン」(毎日16時~21時)
電話:0120-99-7777
(弁護士ドットコムニュース)