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すとぷりがライブで直接リスナーに届ける“幸せ” 熱気に満ちた幕張メッセイベントホール公演

2019年05月02日 16:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 すとぷりが、4月30日、5月1日の2日間、ワンマンライブ『すとろべりーめもりーvol.7』を幕張メッセイベントホールにて開催し、計1万4千人を動員した。


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 すとぷりは、さとみ、るぅと、ころん、莉犬(りいぬ)、ななもり。、ジェルからなる6人組。2016年よりYouTubeやニコニコ動画をはじめとする動画配信サイトで楽曲やゲーム実況などを投稿し始め、若年層から絶大な人気を獲得したエンタメユニットだ。関連動画の総再生回数がいまや4億回超という驚異的な数字からもその勢いは伝わるだろう。また、3月27日にリリースした1stミニアルバム『すとろべりーすたーと』は、インディーズながらオリコン週間アルバムランキングで初登場2位を獲得。音楽シーンでもその頭角を現しはじめているすとぷりは、どんなライブを行っているのか? 5月1日公演に足を運んだ。


 彼らのライブで驚いたのは、最初から最後まで徹底的に“すとぷりの世界観”に浸れるということ。彼らは動画ではキャラクタライズされた姿で活動しているため、ライブのようなリアルな場で普段とのギャップが生まれる可能性は少なくない。しかし、本編中は楽曲の披露に専念し、トークパートはステージ上のモニターに映された動画で展開するという見せ方で、その問題を難なくクリアしていた。また、実際に歌を歌う彼らに会えるのは現在はライブ会場のみ。そのレア感もライブの盛り上がりを一層高めている。ステージ上のピンク色のお城をバックに歌う彼らに対し、メンバーカラー6色のサイリウムでカラフルに彩られた客席からは悲鳴にも近い黄色い歓声、声援がとめどなく送られる。終始人気アイドルのコンサートさながらの熱気が会場を包んでいた。


 6人の個性豊かなキャラクターと声、メンバー同士の仲睦まじい関係性もすとぷり人気を語る上では欠かせない要素のようだ。それがマニアックなものではなく、初めてライブを見た人でも即座に理解できるわかりやすさなのもよい。


 ピンク担当のさとみはキザなセリフを臆することなく言えるあざとさがあり、ロック調の曲が映える声質。オレンジ担当のジェルは関西弁が特徴で、大人っぽいセクシーさとユーモアを兼ね備えたイケボ。黄色担当のるぅとはかわいらしい声色を持つ愛されキャラで、ストレートなポップスをオリジナリティ溢れるものに。紫担当のななもり。はリーダーとしてメンバーを引っ張るしっかり者で、やや低めの声がボカロ曲にぴったり。水色担当のころんは元気いっぱいのお調子者、特徴的な高めの声で疾走感ある楽曲を歌いこなす。赤担当の莉犬は犬のような耳がトレードマーク、ジェンダー/エイジレスな甘い声はユニット随一の個性を持つ……というように、実にバラエティ豊かだ。そんな彼らがソロ→ペア→トリオと曲ごとに違った編成を組むことで、6人の歌声が織りなすケミストリーを楽しむことができるのも面白い。さらに、全員で歌うすとぷり楽曲は王子様感、青春感漂う王道ポップス。今後は曲先行でファンを増やしていけるユニットとしての可能性も大いに感じることができた。


 一貫したすとぷりワールドを見せてきたライブ本編を終え、アンコールではメンバー一人ひとりから、応援してくれるリスナー(すとぷりファンの総称)に対して赤裸々な思いが語られる場面も。6人それぞれがこの日のライブを迎えるまでにどのような思いを抱えてきたのか、日頃の応援がどれほど彼らの支えになっているのか。多くの人気を獲得する一方、さまざまな不安や葛藤と隣り合わせであったことが涙ながらに語られた。動画コンテンツを通して日々活動する彼らにとって、ライブは素直な思いをダイレクトに届けることができる場所でもある。この日リスナーと交わした“みんなを幸せにする”という約束を胸に、すとぷりはここからますます活躍の幅を広げていくことになるだろう。(久蔵千恵)