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WEC:LMP1ノンハイブリッド車の使用エネルギー量が無制限に。第7戦スパのEoT発表

2019年05月01日 08:01  AUTOSPORT web

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SMPレーシングのBRエンジニアリングBR1・AER(左)とレベリオン・レーシングのレベリオンR13・ギブソン
5月2~4日、ベルギーのスパ・フランコルシャンで開催されるWEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”第7戦スパ6時間レースに向けて、LMP1クラスに課せられるEoT(イクイバレンス・オブ・テクノロジー=技術の均衡)最新版が発表された。
 
 EoTとはWECの最高峰カテゴリーであるLMP1クラスに参戦する車両間の技術的パフォーマンスの差を小さくし、カテゴリー内の競争を促すもの。2018/2019年“スーパーシーズン”は参戦車両をハイブリッドカー、ノンバイリッドNA車、ノンハイブリッド・ターボ車の3種類に分類し、それぞれの性能を調整するテーブルが各ラウンド毎に設定されている。

 今回発表された第7戦スパ用のEoTではラップあたりの最大使用エネルギー量とマシン最低重量の2項目に変更があり、前者ではLMP1プライベーターが走らせるノンハイブリッド車のテーブルが「制限なし」とされた。

 これにより、今季これまでの6戦中トヨタに5度のワン・ツー・フィニッシュを許しているプライベーター勢は、スーパーシーズンをとおして行われてきたエネルギー制限から開放され、燃料流量制限の範囲内ではあるがリフト・アンド・コーストを行わない、いわゆる“フラットアウト”が可能となる。
 
 ただし、燃料搭載量の最大値は前戦のセブリング1000マイルから変わりがないため、実行にあたっては燃費の悪化による1スティントあたりの周回数減少を覚悟する必要がありそうだ。

 また、車両重量についてはレベリオン・レーシング、ドラゴンスピードと第7戦からギブソン製エンジンを使用するバイコレス・レーシング・チームが走らせるノンハブリッド自然吸気エンジン車の数値が改められ、従来の818kgから824kgに引き上げられた。なお、トヨタTS050ハイブリッドの904kg、ノンハイブリッド・ターボ車の833kgという最低重量のほか、それ以外のテーブルの数値は変更されていない。

■レベリオン、スパでローダウンフォースエアロを初投入へ

 今シーズン、オレカのLMP2シャシー、オレカ07をベースとする新型LMP1カー『レベリオンR13』を使用しているスイスチームは、スーパーシーズン終盤戦となる第7戦スパで新しいエアロキットをデビューさせる予定だ。

 2018年のル・マンではマシン開発の遅れからハイダウンフォース仕様のエアロキットで24時間レースを戦ったレベリオン・レーシング。チームは先週、スペインのモーターランド・アラゴンでプライベートテストを実施し、そこで目撃された、フロントタイヤ前方のフェンダーが大きく前方に伸びたローダウンフォース仕様と思われるニューエアロキットが、ル・マンの前哨戦に位置づけられるスパで初登場すると考えられている。
 
 これと同時期に、昨年のル・マンを最後にLMP1クラスから姿を消したジネッタが、将来のWEC復帰に向け新しいカスタマーチームを引きつけるためのプログラムの一環として、『ジネッタG60-LT-P』をスペインで走らせた。このマシンは以前、メカクローム製ターボエンジンを搭載していたが、現在はAER製ターボエンジンに載せ替えられている。

■2018/2019年WECスーパーシーズン第7戦スパ・フランコルシャン用EoT(4月26日版)
エンジンタイプ自然吸気ターボターボMGU放出エネルギー(MJ/Lap)00<6.37MGU放出パワー(kW)00<300最低重量(kg)824833904最大エネルギー(MJ/Lap)無制限無制限71.3最大燃料流量(kg/h)11511580最大燃料搭載量(kg)56.552.835.1給油リストリクター径(mm)25.0024.2020.40