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F1 Topic:燃料流量違反によって予選失格となったガスリー。その原因と決勝でホンダがとった対策

2019年04月30日 13:51  AUTOSPORT web

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2019年F1第4戦アゼルバイジャンGP データをチェックするホンダ田辺豊治F1テクニカルディレクター
F1第4戦アゼルバイジャンGP予選後、燃料流量が制限を超えていたとして、レッドブルのピエール・ガスリーが予選結果から除外された。いったい何が起きたのか、レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は次のように説明した。

「Q1でピエールが1分41秒335のファステストを刻んだラップの最終のロングストレートでストロール(レーシングポイント)のトウ(スリップストリーム)に入ってリミッターにあたったとき、予想外のオシレーション(共振)が発生し、燃料流量が規定値を僅かに超えてしまったようだ」

 F1のテクニカルレギュレーション第5条1項4には、「燃料流量はいかなる場合でも毎時100kgを超えてはならない」と定められており、FIAは燃料流量を検知するセンサーから送られてくる燃料流量を、全車モニタリングしている。ホーナーによれば、「時速334.1kmを記録した瞬間、わずかに規定値を超えたらしい。しかも、その数値は0.2gほどで、パフォーマンスにはまったく影響していなかったが、違反していたことには変わりはないため、スチュワードの予選結果から除外という決定を受け入れた」という。

 そこでレッドブルとホンダは、SECU(スタンダード・エレクトロニック・コントロール・ユニット)のパラメーターを調整した。ただし、それはガスリー車だけだった。なぜ、マックス・フェルスタッペンは変えなかったのか。

 それは、現在のF1にはレースがスタートするまでパルクフェルメ状態を守らなければならないというレギュレーションがあるからだ。F1では予選で最初にコースインした瞬間にマシンはパルクフェルメ状態となり、決勝レースがスタートするまでマシンのセッティングは原則、変更できない。


 2018年の日本GPのスタート前にホンダはガスリー(当時トロロッソ)のオシレーションを抑えようと、シフトチェンジ後の点火時期の遅延処理する『Post shift ignition retard settings』の変更を行おうとしたが、FIAはパルクフェルメ状態を破ることになるという理由で直前になって、変更を認められなかったことが、その良い例だ。

 もし、止むを得ない状況でパルクフェルメ状態を破ると、ピットレーンからのスタートしなければならない。アゼルバイジャンGPでは予選でクラッシュしたロバート・クビサ(ウイリアムズ)がそうだった。ただし、ガスリーは金曜日に車重検査を怠ったとして、すでにピットレーンからのスタートが決まっていたため、パルクフェルメ状態を破っても影響はない。そこでレッドブルとホンダは、同じ問題(共振)が起きないよう、SECUのパラメーターを調整した。

 したがって、レースでガスリーが毎時100kgを大きく下回る燃料流量で走行していたわけではない。他車のトウについてリミッターにあたった場合でも、土曜日と同じような共振が発生しないように制御面の変更を行ったようだ。

 フェルスタッペンやトロロッソの2台のSECUのパラメーターを調整しなかったのは、今回のガスリーの一件は、いくつかの要因が偶然重なって起きた稀なケースだった可能性があり、そのためにわざわざ予選結果を捨てて、自らピットレーンスタートを選択するほどでもないと判断したからだと考えられる。

 ただし、原因がきちんと解明されていない現在の状況では、再びレッドブルのマシンに同じ問題が発生しないとは言い切れない。田辺豊治F1テクニカルディレクターも、「どうしてそのような事態に陥ったのかはこれから細かく解析して見直していきます」と、スペインGPまでにしっかりとした調査を行うことを明らかにしている。