4月25~28日に行われた2019年のWRC世界ラリー選手権第5戦アルゼンチン。この大会にトミ・マキネン・レーシングから参戦した勝田貴元(フォード・フィエスタR5)は初出場の大会ながら一時クラス首位を走行するなど速さをみせた。
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ・プログラムに参加している勝田は、南米アルゼンチンを舞台としたグラベル(未舗装)イベントのラリー・アルゼンティーナに初出場。コドライバーのダニエル・バリットとともにWRC2クラスに挑んだ。
ラリー開幕直前、アルゼンチンには大雨が降ったこともあり、競技前半は路面がぬかるみ滑りやすいコンディションとなる。そんな難コンディションのなか、勝田は市街地を舞台としたSS1でワークスチームのR5車両を含めたなかでクラストップタイムを刻み、総合11番手につける。
競技2日目はSS4、7でクラス最速タイムを刻むとSS7終了時点でクラス2番手に対し、24.4秒の大量リードを築いてクラス首位につけてみせた。
しかし、2日目の最終ステージであるSS8走行中に左フロントのホイールが壊れるアクシデントが発生。勝田はこれでコースオフすると、そのままマシンがスタックしてしまい、デイリタイアを余儀なくされた。
巻き返しを狙った競技3日目はパワーステアリングにトラブルが発生してしまい、午前中はタイムを伸ばせなかったが、トラブルを解消して臨んだ午後の走行では2ステージでトップタイムをマーク。
勢いに乗る勝田は、最終日もSS16、18でクラスベストタイムを記録してフィニッシュ。リザルトこそクラス最下位の5位となったが、この週末に行われた18SS中7SSを制して、初挑戦のラリー・アルゼンティーナでパフォーマンスを発揮した。
「自分にとっては、とても良いラリーでした。リザルトは望んでいたようなものではありませんが、元々の目標は初めてのラリーで経験値を高めることだけでした」と勝田。
「事前にとてもタフなラリーだと聞いていましたが、何とかすべてのステージを走り切ることができました。ステージはとても荒れていて、それなのにハイスピードなコースだったので簡単ではありませんでした」
「また、雨の影響でいくつかのコーナーは泥で覆われ、自分にとっては初めて経験するようなコンディションでした。最初はとても苦労しましたが、ドライビングと速さの両方を改善できたと思います」
「突然ホイールが破損するまで、WRC2カテゴリーをリードできたことに関してもうれしく思います。特に何かに当たったたわけではないので、ホイールが壊れたのはとても残念ですが、このような荒れたラリーでは十分に起こり得ることです」
「土曜日の午前中にはパワーステアリングの問題が起こりましたが、チームがすぐに修理をしてくれたので、以降は運転を楽しむことができました」
「R5カーをドライブする経験豊かな選手に対抗するためには、さらなる進化が必要ですが、このラリーに何回も出ているドライバーを相手に、何度かベストタイムを出せたのは良かったと思います」
ラリー・アルゼンティーナの荒れたグラベルで経験を積んだ勝田は、5月9~12日に行われるWRC第6戦チリにも参加予定。このまま南米にとどまり、今年がWRC初開催となるラリー・チリに向けて準備を整えていく。