ひとつの家族や親族が会社の中枢で経営に携わる「同族経営」。「家族経営」や「ファミリービジネス」などとも呼ばれ、会長、社長、専務、部長などの重要な役職に同じ名字が並ぶことが多い。
個人経営の店や中小企業だけでなく、創業家一族が経営に関わる大企業なども同族経営といえる。企業口コミサイト「キャリコネ」には、同族経営の企業で働く「一族以外の労働者」の声が寄せられている。【参照元:キャリコネ】
現場は「誰も逆らえない」「理不尽な思いをすることが多い」
「一族経営のワンマン経営。社長と関わることは一切なく、その下にいる常務が実際のトップ。自分の気に入った人間だけを周りに固めお山の大将」(営業 30代後半女性 正社員 年収360万円)
「一族経営であり、完全なるトップダウン。役員には一族外の人間もいるが、年々減ってきたうえに、実質誰も逆らえない。失敗を恐れず挑戦していいとは言うが、何か大きなミスが出ると、原因部門の所属長を降格のうえ、全く別の部門に飛ばす。人員が抜けた部門の補填にお金をかけることを渋る傾向があり、人材を大事にしてるとは思いにくい」(制作ディレクター 20代後半女性 正社員 年収400万円)
「一族経営なので現場の意見は全く通らず、特に営業は理不尽な思いをすることが多い。株式を公開していないため、利益を出しているのかわからない」(MR 20代前半男性 正社員 年収400万円)
同族経営というと、その親族による暗黙のルールやワンマンなイメージを抱きがちだが、やはりそうしたことに悩む社員は多いようだ。「トップダウンの指示に逆らえない」「現場からは意見ができない」など、経営者やその身内の意見に従うしかない状況に不満を感じる声が寄せられた。
創業者や経営者一族は株式と経営権を握っているため、会社内での地位や権力、支配力は大きくなりがちだ。なかには一族の利益を優先したり、会社が私物化されることもあるため、理不尽な思いを強いられる社員もいるだろう。
「取り入ることができればスピード出世」
「一族経営なので繋がりのある人じゃないと出世は見込めません。出世についての明確なルールはなく、居なくなったポストに上がる感じです」(その他 50代前半、男性正社員 年収360万円)
「一族経営のため、一族に好かれることが一番。一族は主に施設長など幹部職員なので、(出世は)上司に好かれるかどうかにかかっている」(医療福祉関連 30代後半女性 正社員 年収300万円)
「一族経営のため、社長に気に入られるかが鍵となる。社長に評価されないと昇進はしない一方で、取り入ることができればスピード出世ができる」(技術関連職 30代後半男性 正社員 年収400万円)
同族経営に関する口コミの中で目立ったのが、「出世」についてだ。その親族とつながりのある人物や、ファミリーに好かれた人物が優先的に出世するという声が寄せられた。評価や査定に明確な基準はなく、経営者一族の個人的な理由や好き嫌いで評価されてしまうのだ。嫌われてしまったらキャリアアップは見込めない。
もちろん全ての一族経営が、ワンマンで窮屈な会社というわけではない。一族の経営方針や企業理念、仕事の姿勢に共感できれば、やりがいを感じながら仕事に取り組めるだろう。一方で、もし一族経営の方針や社風に納得がいかない場合は、転職して新たな道を選ぶのもありだろう。【参照元:キャリコネ】