ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) 4月28日に行われた2019年のWRC世界ラリー選手権第5戦アルゼンチン競技最終日。この大会に3台体勢で臨んだTOYOTA GAZOO Racing WRTは、総合3番手で最終SSに臨んだクリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)がタイヤトラブルから1.4秒差で逆転を許し、表彰台獲得はならず。それでも3台がポイント圏内に入る力走をみせた。
2019年からトヨタに移籍したミークは、前日の競技3日目終了時点で総合3番手につけていた。しかし、その3日目に行われたSS11でロードブックの指示とは異なるルートを通過したとして10秒のタイムペナルティを与えられることに。
これによりミークは総合5番手までポジションを落として競技最終日へ臨むことになったが、競技最終日最初のステージであるSS16でベストタイムを記録し総合4番手へ浮上。続くSS17では先行する王者セバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)を交わして総合3番手に返り咲く。
オジエに対し5.2秒リードで臨んだ最終SS18、ミークのヤリスWRCにはステージ途中でタイヤの空気圧が低下するアクシデントが発生。先にステージ最速タイムで走行を終えていたオジエに6.6秒遅れでフィニッシュすることになり、トヨタ移籍後初の表彰台獲得はならなかった。
チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合6番手で競技最終日をスタートさせるとSS17でステージ2位に入り、総合5番手へ。最終SS18でもポジションを守ってフィニッシュ。このSS18ではオジエと0.1秒差のステージ2位に入る力走をみせた。
前日メカニカルトラブルでデイリタイアしていたオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)はミークと同じくSS11でコース逸脱があったとして10秒ペナルティを受けながらも粘りの走りで総合8位に食い込んでいる。
■総合8位で終えたタナク「次のチリでは反撃に転じたい」
チーム代表を務めるトミ・マキネンは「全体的には非常に良い1日」としながらも、「次戦のチリに向けて万全の準備を行ない、表彰台に返り咲きたい」と反撃を誓っている。
「クリス(ミーク)は朝のステージで本当に速かったが、残念ながら最終ステージで表彰台を逃してしまった」
「ヤリ-マティ(ラトバラ)も、素晴らしい走りだった。ただし、パワーステージの最後で運転がやや荒くなり、クルマが少し滑ってしまっていたね。それが、ベストタイムと5ポイントを逃した理由だ。それでも、今日の走りは本当に良かったと言える」
「今日はステージの路面がかなり乾き、滑りやすい状態だったから、1番手スタートのオット(タナク)ができることはあまりなかったと思う。我々としては、次戦のチリに向けて万全の準備を行ない、表彰台に返り咲きたいと思うよ」
惜しくも表彰台に手が届かなかったミークは「パワーステージ(SS18)でも好調だっが、フィニッシュまで6kmの地点で、タイヤの空気圧低下を示す警告灯が点いた」とSS18での失速理由を説明する。
「ただし、なぜそうなったのか、まったく分からない。ベストを尽くしたけど、あのようなことも起こるんだ。ここ3戦は、いずれも最高の結果を狙えたはずだから、やはりフラストレーションが溜まるね」
「ヤリスWRCの運転はとても楽しく、今日のように完璧にはいかなくとも十分に楽しめた。自分がやるべきことをきちんとやり続ければ、きっと正しい方向に進むはずだよ」
ミークに続く総合5位に入ったラトバラは「今季はここまで非常に厳しいラリーが続き、今回も金曜日は良くないスタートになってしまった。しかし、土曜日は少しずつ状況が良くなっていき、今日はようやく昨年の終わりのレベルまで(パフォーマンスを)戻せた」とコメント。
総合8位とボーナスポイントが得られるパワーステージでの得点をあわせてドライバーズランキング3位に留まったタナクは「今週はトラブルに見舞われ、フラストレーションがかなり溜まった。パフォーマンスはとても良かったのに、結果が伴わなかったから、改善しなくてはならないことが山ほどあるよ。これからもベストを尽くして戦い、次のチリでは反撃に転じたい」としている。
2019年シーズンのWRC第6戦は、今季からカレンダー入りを果たしたラリー・チリ。第5戦アルゼンチンと同じくグラベル(未舗装)を舞台とした1戦だが、中高速域のステージが大部分を占めるなど、アルゼンチンとは違うキャラクターを持つ1戦となる。