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34歳、濃すぎる番長役で朝ドラデビュー! 『なつぞら』板橋駿谷抜擢の背景に“ピュアさ”あり

2019年04月29日 09:51  リアルサウンド

リアルサウンド

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 34歳で高校生役を演じ、朝ドラデビューを飾った板橋駿谷。NHKの連続テレビ小説『なつぞら』で広瀬すず演じるヒロインなつが通う十勝農業高校の番長こと3年生の門倉努を演じ、その濃すぎるキャラクターが話題になっている。


【写真】なつ(広瀬すず)と対面する番長(板橋駿谷)


 板橋は三浦直之主宰の劇団ロロの所属。役者である傍、ラッパーとしての才能も発揮し、TOKYO NO.1 SOUL SETのBIKKEとのラップユニット「HELクライム」を結成。映画『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』への出演に生かしている。東京演劇界で活躍中の役者による落語一門「夏葉亭」に所属し、高座にも上がっている。


 板橋演じる番長の登場は、なつたちを呼び出すシーン。演劇部の初の女優になったなつに「農業高校がナメられる」と脅したかと思えば、なつからの反撃をくらい、「FFJの精神はあんのか!?」と農業クラブの歌を斉唱させる強引ぶり。また、彼は「熊とサケを取合って、勝ったって伝説」を持つという。その後も同じく演劇部に参加してなつたちをかき乱していくのだが、ちょっと強引な部分も含め、不思議にも嫌味さを感じさせない。


 板橋の舞台を以前から観ており、共に作品に携わった経験を持つ脚本家の登米裕一氏に、板橋の『なつぞら』出演の反響や番長役についての相性を語ってもらった。


 「朝ドラに出たことは小劇場界、演劇界のみんなが『バシくん来たね!』と喜んでいると思います。ちょっと強面なんですけど、後輩たちには兄貴肌で、先輩には弟キャラで慕われている存在ですね。前に母親が亡くなったことを私演劇の形で一人芝居でやっていたことがあるんです。家族や仲間を大事にする部分や中身はピュアなところがある人だから、そのへんが“ただ強面の番長”というだけじゃなくて、ちょっと抜けている感じとか愛されるキャラクターにできているのかなと。番長と言っても、誰かを攻撃したりするような威圧的なタイプの役柄ではないから、バシくんの純粋な部分、人を嫌わないし嫌われないところがすごく合っていますね。劇団ロロが青春をテーマにしたお芝居をやることが多いので、劇団で培われているピュアなものを演じるのが染み付いているから、年齢関係なく、『なつぞら』での存在感も不自然に見えないんじゃないかなと」


 また、板橋の『なつぞら』出演の抜擢について、彼の演劇に対する熱意が背景にあると明かす。


 「ここ最近映像に軸足を置いて活動し始めて、今回は大抜擢とも言えますが、そのステップはちゃんと踏んでいたのかなと。『さんぴん』というユニットで男4人で地方を回ったりもしていて、軸足を演劇活動に置いて、演劇を大事にしながらも、映像もやっていかなきゃという意思で動いている。落語もフリースタイルのラップも一人芝居もやるし、自分で色々高めることをやってきているんですが、ストイックというよりも、やってみようかなと思うことにちゃんと挑めるタイプ。ちゃんと良い作品に出て見てもらった、次に呼んでもらえるようにと繰り替えしたから今があるんだと思います。大学時代からしっかり演劇を学んでるし、小劇場で下図積んだ10何年があるから、これからぽっと出で消えるとかじゃなくて、またいろんな方に呼ばれていくんじゃないでしょうか」


 『なつぞら』での今後の見せ場に期待しつつ、朝ドラからの飛躍に期待したい。


(大和田茉椰)