経験不足やブランクの長さにとらわれて最初の一歩を躊躇してしまうママさんがいますが、勿体ないことです。前職だけではなく、家事育児の経験も立派なキャリアです。
例えば、保育園・幼稚園や小学校の役員経験、地域活動もその一つ。共通目的があり、社風に合わせて採用された集団で縦の力が働いている会社とは違い、こうした活動の役員は金銭的報酬もなく、立候補した人から仕方なく引き受けた人までいます。色んなタイプやスタイルの人の、色んな意見を取りまとめなければなりません。(文:時短ママ戦略活用アドバイザー谷平優美)
ママ友などとの関係構築は仕事で周りを巻き込む力、家事の見直しは業務効率化する力
家事育児ではさらに時間管理力、マルチタスク力(同時並行でいろいろなことをする力)、子どもとの対話力、成長を見守ったりあたたかく受け止める母性、生活目線・消費者感覚、家計を通じたやりくり力、予期せぬことを事前に察知する危機管理力、細かなことに気付く力など、様々な力がつきます。
予想外なこともたくさん起きる中、家族やママ友・地域ネットワーク・外部サポートと関係構築をして自分が安心できる体制をつくる力は、仕事での周りを巻き込む力、チームで成果を出す力にもつながります。家事タスクを細かく洗い出し、頻度を調整したり、家電に任せたり、夫に思いと期待を伝えてお願いしたり……という見直しも、仕事で自分が楽になるための業務見直し・効率化をすることと似ています。
私も、専業主婦や、丸一日子ども2人の相手をする時間も経験しています。子どもたちはもちろん可愛いですが、この経験で「仕事をしている方が評価もされるしお金も頂けるし、誰に振り回されることもなく自分の時間を過ごせるから心身とも楽だ」と思ってしまったくらいです。当時は、1人でご飯を食べたり電車に乗れるだけで幸せをかみしめたものです。そのくらいハードな環境をくぐり抜けてきたからこそ、意外と身についている力ってあるものです。
ライフラインチャートで強みを整理する
家事や育児の経験を活かして社会で活躍するママや、そんなママを評価する企業も増えてきています。前職や家事育でどんな力がついたか、改めて整理してみると、いざ面接をするとなった場合に自分をアピールしやすく、理解もしてもらいやすくなります。
いきなりそういわれても自分の強みなんてちょっと難しいな、という方はライフラインチャートというグラフで考えてみましょう。ライフラインチャートとは、横軸が年齢、縦軸の真ん中を平均として主観的な満足度・充実度を1本のラインで表したグラフです。印象的だった出来事を満足度・充実度に応じてマッピングし、線でつなげていきます。
線の山では「強み」を伸ばし、谷では「乗り越える力」をつけていることが多いものです。
ちょっとでも「こんな力ついたかな」と思ったら身に付いたことを書き出してみてください。職場や周りの人に「○○さんは○○だよね」と褒められたことのあることも、自分は無意識にこなせているあなたの強みだったりします。この機会に整理してみてくださいね。