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古田新太が高橋ひかるらに伝えるメッセージとは 『俺スカ』はコメディ要素も楽しみなドラマに

2019年04月28日 13:41  リアルサウンド

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 原田のぶお(古田新太)という、今までにはいなかったタイプの強烈な教師が降臨した初回放送に引き続き、原田による特異な教育メソッドでインパクトを残し続ける『俺のスカート、どこ行った?』(日本テレビ系)。4月27日に放送された第2話では、ブラック企業やブラック部活といった現代社会の問題へと原田が関わっていくことで、その本質が垣間見える。また、本作の魅力のひとつである古田新太を中心とした個々のキャラクターの存在感の強さと、それによって生まれる掛け合いのおもしろさが、学園ドラマとしての異色な雰囲気
を形成しつつある。


参考:動画はこちらから


 学校全体の偏差値向上のため、補習期間に入った豪林館学園高校。原田が「ブラック企業じゃん?」と不満の声を漏らしたのは、放課後に実施されるその補習に残業手当もなしで担任教師が付き添わなければいけないことについてだった。確かに、生徒のために教師の時間が(半ば強制的に)奪われてしまうというのは、この仕事に携わるうえで必要なことなのかもしれないが、イチ組織としては疑問も残る。そんななか原田は、産休に入った戸塚(平岩紙)の代わりにチア部の顧問になることを依頼され、補習への付き添い免除や手当が出るという情報からこれを引き受けることに。あまりにも自分にとっての損得勘定を明け透けにしているようにも見えるが、こうしたどこまでも自分本位な姿が原田らしさを形成していて、そこから展開していくドラマにも特異性が現れている。


 練習過多によって、チア部の一員である川崎(高橋ひかる)が怪我をしてしまい、練習への参加はおろか、今回こそはなんとしても入賞をめざそうと励んできた大会への出場も危ぶまれる。練習に参加できず、がんばる部員の姿を静かに見守る川崎結衣を演じたのは、第14回全日本国民的美少女コンテストでグランプリを受賞している期待の新人・高橋ひかる。彼女が繊細な演技で体現したのは、「やりたくてもできない」という苦悩の末にたどり着いてしまった諦めの感情だった。


 それでも部活外で個人練習を続ける川崎の努力が健気に映るなか、彼女の幼馴染である東条(道枝駿佑)は、自らも怪我によってサッカーを辞めざるをえなくなった経験を持っていることもあり、彼女の努力に触発される。そのことをきっかけに明智(永瀬廉)と衝突する場面は、今後ふたりの関係が何か大きな事件を引き起こすのではないかという期待感を煽っていく。


 シングルマザーという世間のイメージに押しつぶされそうになる戸塚や部活を辞めようとする川崎らに原田が伝えたのは、世間体を気にすることなく、やりたいことは今この時にやらなければきっと後悔してしまうというメッセージだった。「小さな嘘はあんた自身を苦しめることになる」「あの子たち(チア部員)は世間体なんか気にせず動いたわ」という原田の言葉が印象的だ。自分の気持ちに嘘をつかず、思ったままの行動をするというのは、まさしく原田が体現する自由な生き方を表しているからこそ、説得力がある。


 里見(白石麻衣)による下ネタ発言がSNSなどで話題となった初回放送からもコメディとしての片鱗を見せていた『俺スカ』。キャラクターそれぞれの個性が定着しつつある第2話では、お笑いの要素がさらにエンジン全開。朝練をする天文部と新設されたカバディ部、すなわち顧問である広田(シソンヌじろう)と古賀(荒川良々)との威信をかけたカバディ対決や、悪気なく原田に意見をぶつける里見とのボケとツッコミ的な掛け合いが随所で挿入され、そのテンポ感が心地いい。また、そうしたお笑い要素だけでなく、第1話の出来事を経てすっかり距離を縮めた若林(長尾謙杜)と原田の親しげなやりとりや原田が家で娘・糸(片山友希)に見せる柔らかい表情など、随所にも見所が多い。個々のキャラクターが確立してからの役者たちの化学反応にも期待したい。


※高橋ひかるの「高」はハシゴダカが正式表記。 (リアルサウンド編集部)