フランスの首都パリで行われた2018/2019ABBフォーミュラE選手権第8戦パリE-prix。4月27日に行われた決勝レースは、ロビン・フラインス(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)が初優勝を飾った。フロントロウスタートのニッサン勢は、2台ともポイント圏外でレースを終えている。
華の都パリで開催される第8戦。歴史的建造物が並ぶアンヴァリッドエリアを中心に全長1.9km、14のコーナーを持つ特設コースで争われた。
予選ではパスカル・ウェーレイン(マヒンドラ)がポールポジションを獲得したが、レース後車検でタイヤプレッシャーに違反が見つかり最後尾へ降格。
予選2番手のオリバー・ローランドがポールポジション、となりにはセバスチャン・ブエミとニッサン・e.ダムスがフロントロウに並び決勝レースを迎えた。
予選から決勝までのインターバル中に雨が降ったこともあり、レースはセーフティカーが1周先導し、45分+1周の決勝レースがスタートした。
第8戦のアタックモードを始動するアクティベーションゾーンは、ターン9の立ち上がりイン側に設けられており、2回の使用義務がある。
ポールシッターのローランドはスタートと同時にギャップを広げにかかるが、1周目ターン10へのブレーキングで止まりきれずにバリアに単独クラッシュ。最後尾までポジションを落としてしまう。
トップはブエミ、2番手にフラインス、3番手にフェリペ・マッサ(ベンチュリ・フォーミュラEチーム)が続く。
スタートから6分が経過した6周目、2番手フラインスと3番手マッサがアタックモードを使用してブエミを追いかける。
その翌周にはトップのブエミがアタックモードへ。この際、フラインスのノーズがリヤタイヤに接触してしまう。この影響なのか、ブエミは思うようにペースを上げられず、アタックモードが終了したフラインスに接近を許してしまう。
8周目、アタックモード中のアンドレ・ロッテラー(DSテチーター)が4番手に浮上。さらに10周目にマッサを交わし3番手へとポジションをアップする。
2番手のフラインスもブエミをオーバーテイク。ブエミはロッテラーにも交わされ緊急ピットイン。優勝争いから陥落してしまった。
3番手のマッサは、アタックモード中のアプトを抑えきれずポジションダウン。ここでパリは突然のスコールが襲う。雨は強くなり、残り27分30秒となったタイミングでフルコースイエローが導入される。
フルコースイエローは約3分ほど続き、17周目に再開を迎えるも、その3分後にはターン3でサム・バード(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)やアレキサンダー・シムス(BMW i アンドレッティ・モータースポーツ)、ローランドなど複数台が絡むクラッシュがあり、ふたたびフルコースイエローへ。
残り15分30秒を切った22周目に再開。わずか3周後、アレックス・リンス(パナソニック・ジャガー・レーシング)エドアルド・モルタラ(ベンチュリ・フォーミュラEチーム)ターン12で交錯。リンスのマシンリヤを持ち上げるような形でのモルタラのマシンが突き刺さり、スタックしてしまう。
3度目のフルコースイエローとなると、マシン撤去のために残り10分+1周を切った25周目にセーフティカーが導入された。
車両回収が終了し、レースは3分を切ったところで再開されたが、残り1分を切った29周目、またもターン3でクラッシュが発生。
ジェローム・ダンブロジオ(マヒンドラ)がコース上で止まってしまい、このレース4度目のフルコースイエローが導入。そのままフィニッシュを迎えた。
後半戦は上位陣に変動はなく、イエローに翻弄されるレースを制したのはフラインス。30戦目のフォーミュラEで初優勝を手にし、今シーズン8人目のウイナーに輝いた。
ロッテラーは2戦連続の2位表彰台を獲得し、ランキングも2位に浮上。3位にはアプトが入った。
「アンドレがずっと後ろにいて、ミスを犯すのを待っていたよ。長いプレシャーだった。フルコースイエローだけしか、休まる時間がなかったよ。間違いなくもっとも過酷なレースのひとつだった」とフラインス。ファステストラップも獲得し、ロッテラーを1ポイント上回ってランキングトップに立っている。
ロッテラーは、「いいスタートだったし、多くのことを避けることができたよ。プラクティスはよかったのに、グリップを感じることができず、今日は安全に完走することが目標だった。雨が降り始め、視界は悪く、コース上に留まろうと努力していたよ。少しだけ、フラインスがミスをするようなプレッシャーをかけながらね」とコメント。
残りは5戦となった2018/2019シーズンのフォーミュラE。次戦は、5月11日にモナコで開催される。