4月24日の「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)では、インターネットの普及が人間の欲求や思考力に与えた影響を取り上げた。ネット依存症の治療が専門の医師・片上素久氏は、SNS依存によって締め切りを守れない人が急増していると指摘した。
SNS上には情報が溢れ過ぎているため、重要な情報さえも流し読みしてしまう人がいるらしい。片上氏の元に来た患者の中には、公共料金の支払いを忘れて電気や水道を止められた人もいたという。学生だと、入学願書の締切を忘れてしまうケースもあったそうだ。(文:石川祐介)
興味に合う情報が自動表示されることで「優先度を付ける力が低下する」
SNSは、ユーザー一人ひとりの興味に合わせた情報を自動的に上位に持ってくる場合が多い。そうなると、「目の前の情報に優先順位を付ける能力が段々なくなっていく」のだという。SNS依存症の患者は重要度を見分けられず、締切ぎりぎりまで行動を起こせなかったり、締切を忘れてしまうと指摘した。
もうひとつ社会問題化しているのが「ゲーム依存」だ。ゲーム依存は、現実社会で上手くいっていない人が陥りやすく、SNS依存は希薄な人間関係が原因になることが多いという。同じ依存でも原因はやや異なる。
心理評論家の植木理恵氏は、ネット通販が一般化したことで、買い物依存症の新たな原因が生まれたと指摘する。
かつての衝動買いや買い物依存は、人間関係を作りたいという欲求から来ていた。寂しい自己愛を満たすために、店員から「とてもお似合いですよ」「こちらはいかがでしょうか?」と褒められることを目的としていたのだ。
しかし、現代の買い物依存は「人間関係で自己愛を満たすこと以上に、クリックをすれば物が届くという万能感」を得ようとして陥るケースが増えているという。
「自分で何かをすることで誰かが言うことを聞いてくれたというような、現代型の自己肯定感を満たしたいという気持ちが強い」
インターネットで私達の生活は格段に便利になった。しかし、依存症や情報処理能力の低下など、これまでになかった変化も出てきている。適度な距離を保ち、人間がネットに使われることのないよう気をつけたいものだ。