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山田裕貴&吉沢亮、『なつぞら』を経てさらなる飛躍へ 広瀬すずを支える“幼馴染”を好演

2019年04月28日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『なつぞら』(NHK総合)第4週「なつよ、女優になれ」で描かれるのは、昭和30年7月。なつ(広瀬すず)にとっては、高校3年生の夏という人生における最も青春の1ページに相応しい日々の記録だ。


 先週はなつが勝農演劇部・女優第1号として入部。それは、農協に勤める剛男(藤木直人)と泰樹(草刈正雄)の揉め事を、なつが演劇という表現を通して答えを見つけ出すためのものだ。絵に描いたような番長の門倉努(板橋駿谷、34歳という驚き!)を新たなキャストに迎えたなつたちの演劇は、スポコン漫画並みに青臭い。グラウンドのランニング、腕立て伏せ、腹筋、トドメはFFJ(Future Farmers of Japan)の精神をモットーにした農業クラブの歌の斉唱と、広瀬すずが「あーい!」と声を張る姿を朝から見ることになるとは、想定していなかった。


 「なつよ、これが青春だ」というナレーションがぴったりの第4週において、なつをサポートするのが親友であり同級生の小畑雪次郎(山田裕貴)。彼は、なつの幼馴染として子供時代より登場していた数少ないキャラだ。幼い頃から夕見子に話しかけていた雪次郎はどこかお調子者だったが、高校生になりその性格はより色濃いものとなっている。高校で演劇にハマった雪次郎は、「俳優修行」と書かれた入門書を手に、なつを演劇に誘う。その明るく真っ直ぐで正直な性格は、菓子屋・雪月の人々を思い起こさせる。


 演じる山田裕貴は、昨年2月頃に行われたオーディションを経て、『なつぞら』への出演が決定した。『HiGH&LOW』シリーズ、ドラマ『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)など、すでに多くのヒット作で振れ幅の広い演技を見せているが、雪次郎を見ていてイメージが重なったのが、山田が主演を務めた映画『あの頃、君を追いかけた』の水島浩介。飾り気のない、自分でいることに重きを置いた演技は、雪次郎だけでなく、劇中で倉田先生(柄本佑)が教える演劇を作ることに通ずる何かを感じさせる。


 そして、なつの演劇を山田天陽(吉沢亮)も舞台美術で手伝うことになる。2人が初めて出会ったのは、教室で天陽がノートに躍動感溢れる馬の絵を描いているのを、なつが見つけた際だ。普段は冷静沈着であるが、時に自身の信念を情熱的に露わにする性格は、演劇「白蛇伝説」の物語、演技からインスピレーションされた巨大な絵画、演劇練習に「魂なんてどこに見えるんですか? 魂なんて作れませんよ」と倉田相手に指摘するその姿勢に表れている。


 「お前はなにもやろうとしていない。下手以下だ」と倉田から指導されたなつに、何も言葉をかけられない雪次郎に対し、天陽は倉田を感心させてしまうだけでなく、「イライラしちゃって。なっちゃんの芝居に」と何でも言い合える仲だからこそ、放つことができる言葉も存在している。山田家の牛が鼓腸症にかかってしまい、泰樹を呼びに来る必死な表情からは、進学せずに兄の分まで家の酪農を受け持つという覚悟が伝わってくる。


 演じる吉沢亮は、山田と同じくオーディションを経て、『なつぞら』出演が決定。映画『リバーズ・エッジ』『ママレード・ボーイ』『銀魂』シリーズ、『キングダム』と、俳優としてスターダムを駆け上がっている吉沢にとって、このタイミングでの朝ドラ出演は、2019年のさらなる飛躍を確信させる。


 第5週「なつよ、お兄ちゃんはどこに?」では、早くも「東京・新宿編」へ。ベーカリー兼カフェ「新宿 川村屋」、クラブ「メランコリー」など、舞台は一変していく中、ついになつの兄・咲太郎(岡田将生)が登場する。瞳を潤わせ「お兄ちゃん!」と叫ぶ、なつの思いは届くのか。(渡辺彰浩)