2019年のWRC世界ラリー選手権は4月26日、第5戦アルゼンチンのSS2~8が行われ、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が総合首位に浮上した。初日トップだったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)はメカニカルトラブルに苦しみながらも総合3番手につけている。
競技2日目を迎え、本格的なグラベル(未舗装路)ラリーの幕が開けたラリー・アルゼンティーナ。大会スタート前に降り続いた雨の影響で、路面はぬかるみ、マシンが走行するたびにコンディションが悪化する難しい状況下で争われた。
この競技2日目序盤は2018年大会ウイナーであるタナクを筆頭に、クリス・ミーク(トヨタ・ヤリスWRC)、ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)のトヨタ勢が速さを発揮。SS4を終えた時点では総合トップ3を独占する速さをみせる。
サービスを挟んで迎えた午後のステージでもトヨタ勢はペースを発揮し、SS6終了時点でミークが総合首位、タナクが0.7秒差の総合2番手につける。
しかし、ステージが進むにつれて路面コンディションがさらに悪化していき、ドライバーに襲いかかる。トップだったミークは「路面コンディションが最悪でまったくトラクションを感じられなかった」というSS7でトップと20.3秒差のステージ5位に終わり、首位から陥落。最終SS8では3速ギアを失うトラブルも重なり、総合4番手までポジションを落としてしまった。
ミークの後退で総合首位にはタナクが返り咲いたものの、そのタナクはSS8でドライブシャフトにトラブルが発生。フィニッシュまで残り2kmの地点でスピンしてしまい、総合4番手まで後退した。前を走るセバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)とは1.5秒差、総合首位のヌービルとは13.4秒差だ。
総合首位につけたヌービルはSS2で総合9番手までポジションを落としてしまったものの、その後は挽回。SS4と、その再走ステージとなるSS8でステージトップタイムを記録して、トップを奪っている。総合2番手のオジエとは11.9秒差。
「今日は安定して走り続けられたことが報われた」とヌービル。
「オープニングステージ(のSS2)では、いい走りができたと思ったけど、ライバルたちほうがいいペースで驚いたよ。戦いながらも改善を続けることができたし、かなりラフなコンディションだった最終ステージ(のSS8)ではトップタイムを記録できた」
「ただ、僕たちが築いたアドバンテージはないに等しいもの。まだ何かをやり遂げたわけではないんだ」
SS4を終えた時点で総合3番手につけていたラトバラは、路面コンディションが悪化した午後のステージでペースを上げられず。総合8番手で競技2日目を走りきっている。
そのほか、オジエのチームメイト、エサペッカ・ラッピ(シトロエンC3 WRC)はSS8走行中、ジャンピングスポット通過後の着地で姿勢が乱れ、マシンが横転するクラッシュ。ドライバー/コドライバーは無事だったが、総合13番手となった。
下位クラスのWRC2では、トミ・マキネン・レーシングから参戦している勝田貴元(フォード・フィエスタR5)が速さを発揮。SS7を終えた時点で総合12番手/クラストップにつけていた。
しかし、最終SS8で左フロントホイールが破損するアクシデントが起きてしまい、コース脇にスタック。総合17番手/クラス4番手で競技2日目を終えることになってしまった。
競技3日目となる現地27日は、SS9~15が行われる。