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『ハロプロダンス学園』インタビュー “ダンスが好き”という気持ちが生んだ7人の結束力

2019年04月27日 10:21  リアルサウンド

リアルサウンド

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 石田亜佑美・加賀楓(モーニング娘。’19)、佐々木莉佳子(アンジュルム)、稲場愛香(Juice=Juice)、浜浦彩乃(こぶしファクトリー)、秋山眞緒(つばきファクトリー)、平井美葉(BEYOOOOONDS)という、ハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)から選抜された“ダンスメン”たちが、ダンスにまつわるさまざまな企画に挑戦していくダンスバラエティ番組『ハロプロダンス学園』(CS「ダンスチャンネル by エンタメ~テレ」/ひかりTV、スカパー!プレミアムサービス、スカパー!プレミアムサービス光、J:COMほか全国ケーブルテレビ、dTVチャンネル™、Amazon Prime Videoチャンネル、スカパー!オンデマンドにて視聴可能)。#4~#6ではMCのタイムマシーン3号も巻き込んで、ダンスエンターテインメント集団・梅棒とのコラボに奮闘する姿をお届けする。彼女たちのダンス愛だけでなく、アイドルとしての活動への向き合い方までもが垣間見える部分がある同番組。番組収録にお邪魔して、その内容についてはもちろん、それぞれのダンスのルーツや好きなハロプロ楽曲の振付についてなど、ざっくばらんに語ってもらった。(古知屋ジュン)


(関連:アンジュルム「46億年LOVE」が首位 2018年度『ハロプロ楽曲大賞』で目立つ若手女性作家の台頭


■それぞれのダンスのルーツ、ハロプロ曲で好きな振付は?


左から平井美葉(BEYOOOOONDS)、加賀楓(モーニング娘。’19)、稲場愛香(Juice=Juice)、石田亜佑美(モーニング娘。’19)、佐々木莉佳子(アンジュルム)、浜浦彩乃(こぶしファクトリー)、秋山眞緒(つばきファクトリー)


――ハロプロにはダンス部(ハロプロのコンサートにおけるダンスに特化した企画)もあったりと、歌だけでなくダンスに力を入れている印象があります。それぞれどういう風にダンスと関わってきたのか教えてください。


石田亜佑美(以下、石田):私は小学校1年でチアダンスを始めて、5~6年続けました。なので、ダンスのルーツといえばチアになりますね。中1でヒップホップを始めて、中3でモーニング娘。になり……という感じです。


浜浦彩乃(以下、浜浦):私はハロプロ研修生になる前にはダンスをやっていなかったので、研修生になった11歳くらいからダンスを始めました。本当に一からのスタートだったので最初はリズムすら取れなかったんですけど、今は取れるようになりました(笑)。


平井美葉(以下、平井):クラシックバレエを4歳から始めて、14年間やっていました。大学に入ってからはヒップホップのミドルスクール、男性っぽい重たい動きのものを始めました。バレエとヒップホップの動きはある意味真逆なので、最初は慣れなくて苦労しましたけど、頑張って取り組んでいます。


秋山眞緒(以下、秋山):私は4、5歳からダンスを始めたんですけど、最初はお母さんが習っていたママさんクラスみたいなところに混ざっていて、そこを抜けてヒップホップを習って、そのあとガールズヒップホップ、そのあとはロック、ハウスと。でも一番長くやってきたのはワック(70年代のサウンドにのせて腕を鞭のように振り回したり、胸の前後のしなりやツイスト、腕を巻きつけるような動きが特徴的)ですね。


佐々木莉佳子(以下、佐々木):私はもともと体を動かすことが好きだったので、いろんなスポーツをやってきたんですよ。その中でもダンスに近いものといえばエアロビクスを7~8年やってました。本格的なダンスはハロプロ研修生に入ってから、その後ダンス部の活動の中でちょっとずつふれていっているような感じなので、まだまだ勉強中です!


加賀楓(以下、加賀):私も浜浦さんと同じで研修生になってから本格的にダンスを習い始めたんですけど、ダンスに近いものといえば幼稚園の年長さんから小学校2年生くらいまで器械体操をやっていました。元オリンピック選手の先生に教わっていたので、練習は毎日泣きそうなくらい厳しかったです(笑)。怪我をしちゃってやむなく辞めたんですけど、今もそのときの経験が活きているなと思うことが多いです。


稲場愛香(以下、稲場):私は4歳からダンスを習ってきていて、ベースとしてはヒップホップです。小学校5年生からはかなり本格的にヒップホップ、ニュージャック、ジャズヒップホップだったりを踊るようになりました。ヒップホップを中心に、いろいろなスタイルに挑戦はしてきましたね。


――みなさんけっこうダンス的なルーツが幅広いですね。普段の活動の中ではどんな感じでダンスレッスンに取り組んでいるんですか?


石田:グループに入ってからはなかなか外に習いに行く時間はなくなってしまうので、レッスンといえば基本的にはグループの新曲が発売されるタイミングのレッスンだけなんですよ。そこでは基礎の練習はあまりしないので、各自で頑張る形なんです。だから個々で好きなダンサーさんの動画を見たりしながら、自己流で技を得て成長していくことが多いのかなと思います。


――なるほど。それぞれハロプロの先輩方とは別にダンスで注目しているアーティストやダンサー、振付師の方はいらっしゃいますか?


加賀:私はAyaBambiさん(コンビとしては活動休止中)と、あとは韓国の有名な1MILLION DANCE STUDIO所属で動画をよく上げていらっしゃるジヌ・ユンさんというコレオグラファーさんの踊り方が本当にクールで、憧れです。


平井:菅原小春さんというダンサーさんがすごく好きで、菅原さんの動画を観て振りを覚えて自分でも踊ってみる、みたいなことをやっています。菅原さんのダンスは音ありきでそれに合わせて踊るのではなくて……動きの一つ一つから音が出ているかのような、楽器のような踊りなんです。自分もそういうスタイルを目指して日々頑張っています。


秋山:私はIBUKIさん(BAD QUEEN)という、ダンスコンテストやダンスバトルで何度も優勝したり、世界的に活躍されているワックのダンサーさんですね。実は昔教えてもらっていたので、今もIBUKIさんみたいなダンスを目指して頑張っています。今はお休みしてますけど自分でもずっとダンスバトルに出たりしてましたし、またそういうダンスを習いにいこうかなって思っているところです。


佐々木:ダンスバトル! かっこいい……。私は(専業の)ダンサーというわけではないですけど、K-POPのBTSのジミンさんのダンスに出会ってから、自分のパフォーマンスが変わったんですよ。ハロプロならではの女の子っぽい雰囲気だけじゃなく、今は男性寄りの力強さも出せるようになって、ダンスの幅が広がったと思います。リハとかでパフォーマンスに迷いが出ると、ジミンさんのいろんなステージ映像を見て、細かい動きを吸収するようにしています。


――ダンサー&振付師のチョイスもわりと意外でしたね。今日はせっかくハロプロのダンスメンなみなさんが集まったので、好きなハロプロ楽曲の振付についてもうかがいたいです。


加賀:私は自分たちの楽曲になっちゃうんですけど、「Help me!!」(2013年)。振付の動画を見たときの第一印象が「気持ち悪っ!」だったんですよ。


石田:うんうんわかる!気持ち悪いんだけど、中毒性があるっていうか。


加賀:大人数でカノンで踊る(数人が1つの振りを数拍ずつずらしながら踊る)と波みたいに見えてとても気持ち悪いんですけど、そこがあの曲のミソの部分なんですよね。あの独特な振付が曲の世界観とも融合していて、すごく好きです。


平井:私はモーニングさんの「ブレインストーミング」(2013年)。曲は機械音っぽいサウンド(EDM) じゃないですか。パンパンパン! とハジけるようなサウンドは軽い感じがして、私の感覚では上のほうにあるんですけど、振りは地面に突き刺さるようなかっこいい直線的な動きで、そのギャップが大好きなんです。


石田:うれしい(照笑)。


秋山:私はアンジュルムさんの「泣けないぜ・・・共感詐欺」(2018年)。もともとアンジュルムさんの振りには好きなものが多いんですよ。女の子らしさもありつつ、その中でさっき佐々木さんが言っていた力強さもあったりして観ていて楽しいし、一回自分も踊ってみたいなって。


佐々木:やだ! 恥ずかしい……。私は自分たちの曲になってしまうんですけど、アンジュルムの「マナーモード」。イントロのホントに一部分なんですけど、腰を下から左右に動かしていって最後にバン! とアタックするような振りがあって、そこに萌えます(笑)。曲自体もすごく好きなんですけど、ダンスといったらその動きですね。MVとかでもそこにフォーカスして観てもらいたい!


石田:私は℃-uteさんの「Summer Wind」(2016年)。


加賀:ああ~わかる!


石田:℃-uteさんといえばダンスがそろっててかっこいいグループと言われてますけども。この曲で特にハマったのが鈴木愛理さんの、ただのウォーキングではないウォーキング。肩や腰を中心に体全体をしっかり使った歩き方をするんですよ。歩くという日常的な動きなのに、どうしてこんなにかっこよく見せられるんだろう? って。ご本人に「あれ、どうやってるんですか?」って聞いたら「亜佑美もできるよ~」みたいに言われたんですけど、全然できなくって。自分なりにすごく研究しました。


浜浦:私も℃-uteさんのダンスが好きで、曲でいうなら「夢限クライマックス」(2016年)ですね。あの曲のMVを観たときにすごい衝撃を受けました。あんなに個性もバラバラで見せ方も違うみなさんが、踊ったときにここまで揃うんだ!と思って。こぶしファクトリーも今5人なんですけど、同じ5人でも全然違って、やっぱりすごいなと感じます。


稲場:High-Kingさんの「C\C (シンデレラ\コンプレックス)」(2008年)。メンバーのみなさんダンスが上手な方々で。個人的にダンスで魅せるという意味ではかわいらしい振付よりかっこいい振付を踊りたいと思うので、この曲の重心低めで男らしい感じの、ある意味アイドルっぽくない動きだったり、音にハメてガツガツ踊る感じが好きです。


■「ダンスは人生を豊かにしてくれる」


――今回の収録では梅棒とのコラボで、学園ものストーリーのAチームと、カップルの結婚を巡るストーリーのBチームのダンス、最後にはもう一つのスペシャルダンス、という難易度の高い企画にチャレンジされましたが、いかがでしたか?


加賀:梅棒さんはもともと動画など見させていただいていて。たとえばここは家の中だ、学校だっていうシチュエーションが動きだけでわかるので、表現力の幅がすごいなってずっと思っていたんですよ。今回のコラボで表情筋をより使った感情の伝え方みたいなことも教わったりして、今後の自分に必要なものをたくさん学ばせていただけたなっていう気持ちになりました。


佐々木:今回は本当に動きと表情だけで伝えていくということで、新鮮な時間で。実は梅棒さんと仕事をさせていただくのは、これが2回目なんですよ(ドヤ顔)。


石田:羨ましいわ!(笑)。


佐々木:なのでまたご一緒できるというのが本当に嬉しくて。すごく丁寧にいろいろ教えてくださったので、自分の引き出しがまた一つ増えた気がします。ハロプロで年に一回舞台をやったりするので、そういったときに、今日教わったことをスパイスとして出していけるようにしたいなと思いました。


――石田さん・佐々木さん・浜浦さん・秋山さんは、タイムマシーン3号の関 太さんと一緒にAチームで学園ものに挑戦してましたね。


浜浦:私は眞緒ちゃんと一緒に、石田さん演じる真面目な女子と莉佳子演じるクラスの人気者男子に意地悪をする女子役で。こういうドラマ仕立てだときっかけを作るのがすごく難しくて、カウントが1人でもずれちゃったらそこでダメになってしまうので不安でしたけど、お客さんの前で披露したときにはすごく楽しくできたのでよかったです。演技なら表情にも変化を付けやすいんですけど、セリフを言わずに感情を作るのがすごく難しいなって感じたので、本番では実はちょっと小声でセリフを言いながら演技したりしてました(笑)。


秋山:ダンスは動きだけで覚えるんじゃなくて、“何かがあったから、反応してこう動く”ものなんだと改めてわかったところがありましたね。あとは演劇風のダンスなので最初は難しいし恥ずかしくて、一緒に出ているみんなともあんまり目を合わせられなかったんです。でもお客さんの前に出てやるとなったら、最終的には自分の殻を破って楽しく終わることができたなって。


石田:たった1日で作り上げたパフォーマンスだったんですけど、終わってみてすごく達成感を感じてますね。お客様から拍手をいただいて、笑顔で終われたので。梅棒さんとのコラボは個人的にも本当に念願だったので、夢のような時間でした。私は梅棒さんのすばらしいステージも拝見しているので、逆に“あそこはもっとこうできたんじゃないか”みたいな感じで、今一歩殻を破れなかったもどかしさもあるんですよ。それを練習時間のせいにはしたくないけど、もっと練習できたらもっとできたのかなっていう欲はありますね。あとは22歳で制服ってところに是非注目していただきたいです!


――対してBチームは加賀さん・稲場さんがカップルに、タイムマシーン3号の山本浩司さんと梅棒の伊藤今人さんがさんの両親、平井さんが稲場家のペットのわんこ役という。平井さんは今人さんとペアダンスを踊ったりと大活躍で。


平井:普通に着ぐるみが暑い! というのもありました(笑)。感情なら顔を使って表現することができますけど、自分を取り巻く状況を観ている人に想像させるのってこんなに難しいんだ!と。私は今まで“音を動きで表現する”のが好きでずっとダンスをやってきたので、今回は個人的な苦手分野といってもいい感情や状況を表現するダンスということで苦戦しました。BEYOOOOONDSは4月に舞台があるんですけれども(全労済ホール/スペース・ゼロ提携公演 演劇女子部『不思議の国のアリスたち』)、そこでも今回の経験を生かしたいなと思いました。


稲場:私はもともとお芝居も好きなので、今回梅棒さんとお芝居も一緒にできるというのがすごくうれしくて。でも映像で見返してみると、自分としては必死に頑張っていたつもりなのにダンスや演技の面で振り切れていない、限界のその先に行けていない感じがすごくして……。梅棒さんとの動きの違いというのも感じましたし。あとは伝えるために動くんじゃなくて、伝えるために止まらなきゃいけないんだっていう、普段のダンスとは逆の発想を学ぶことができたりして、よりダンスの深みを知ることができたと思います。表情とか表面的なことだけじゃなく、感情をしっかり伝えるダンスを踊れるようになりたいなと思いました。


――番組の中でもどんどんいろんな企画にトライしていくと思いますが、今後やってみたいダンスにまつわる企画や活動はありますか?


石田:今回は公開収録という形でやらせていただきましたけど、みんな見られることが好きだからダンスも好きなんだと思うんです。せっかくなら人前で踊りたいので、単独ライブみたいな形でもっとお客さんを呼んで踊りたいですね。めっちゃかっこよく踊るというのもありですけど、お客さんも一緒にできるダンスで盛り上げられるようにもなりたい。私たちがやるなら見せつつ楽しませつつ、みたいなものが理想です。


稲場:ヒップホップ、ハウス、ガールズ、ロック、ポップとか、いろんなジャンルのメドレーをやってみたい。


全員:やりたーい!!!!


加賀:今回の梅棒さんとのコラボでは3分くらいの楽曲の中でダンスと演技を融合させたものをやったんですけど、それを今度は10分くらいの長さのものを、振りを含めて自分たちで作るというのをやってみたいです。振付をちゃんとしたことがないですし。


――いろんなキャリアを積んできたみなさんで考える振付がどんな感じのものになるのか、気になります。


平井:この前のハロコンで、急遽自分で振りを考えなければいけない部分があったんですよ。そのときは私1人ができる全てを詰め込んだ感じだったんですけど、そういう形で今の7人全員でできることのすべてを詰め込んだものを観ていただける機会があったらいいなと思います。セルフプロデュース形式というか。


石田:ダンスに関してそれぞれ見せ方やスタイルが違うから、作品作りの中でもお互いにいい刺激を与え合えると思います。


――それでこそ各グループから選抜で参加している意味があるというか、いろいろ学んで各グループに持ち帰れますもんね。


平井:7人ともダンスに対するアプローチはそれぞれ違うじゃないですか。ダンスの見方だったり覚え方、音の取り方。そういうものをシェアできたら、みんなのダンスの幅が広がるんじゃないかなって。


――ハロプロのパフォーマンスレベルの高さは音楽シーンでもよく知られているところですけど、番組を通してみなさんのダンス愛とステージに賭ける情熱みたいなものも垣間見えて興味深かったです。


石田:番組の企画でも毎回思うんですけど、みんなで一つのものを作るって、すばらしいことだと思うんですよ。いつもは違うグループで活動している私たちが、ダンスが好きという気持ちだけでこんなにも一つになれるんだ!って、実感できるのが本当にステキなことだなと。


稲場:毎回の収録でどんどんみんなのことが好きになるし、一緒にもっと踊りたい!って思うんですよ。共通の好きなものに向かって一生懸命頑張る時間を作っていただけていることに、すごく感謝していますね。企画に苦戦したりして悔しい思いをすることが逆に楽しくもあって、その分燃えて。もっとこういう踊りができるようになりたい! っていう向上心が生まれるので、ダンスは人生を豊かにしてくれるなって思います。