4月26日現地時間午後1時、アゼルバイジャンGPのフリー走行1回目が行われた。気温は16度と低いが陽射しは強く汗ばむような気候で、路面温度は40度。
事前にFIA-F2のフリー走行が45分間に渡って行われたとはいえ、まだ路面はダスティでグリーン。まずは各車がバクーの長いストレートに合わせて持ち込んできたレスダウンフォース仕様のエアロパッケージやアップデートの確認作業を進めていく。フェラーリは小さなアップデートを施したバージボードやフロア後端にフロービズを施して気流を確認している。
しかし12分経過時点でジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)がターン3手前のストレートを走行中に突然フロア下のパーツが飛び散ってストップ。マンホールの蓋が外れてフロア下をヒットしたためだった。これでセッションは赤旗中断となった。レースコントロールからはコース修理と全マンホールの確認のために大幅なセッション遅延となる見込みであることが伝達された。
さらにはマシンを回収しピットへ運ぶ輸送車のクレーンがブリッジをヒットし、その作動用ハイドロ液がマシンに降り注ぐなど混乱が続き、クレア・ウイリアムズ副代表は「我々はスペアシャシーを用意する必要があるかもしれないし、F1サーキットはこうあるべきではない」と厳しく指摘する。フェラーリのシャルル・ルクレールもこのデブリを拾ってマシンにダメージを負っている。
午後1時27分、事態を重く見たレースコントロールはこの段階でFP1を再開せず終了とすることを発表し、フェラーリの2台のみが1分47秒台と49秒台のタイムを記録しただけでセッションは終了。他車はインストレーションチェックを行なったのみで、メルセデス勢に至っては1周も走らずマシンの確認もできないままセッションが終わってしまった。
バクー・シティ・サーキット側の不手際もさることながら、事前に確認を行い承認するはずのFIA側の姿勢と責任も問われることになりそうだ。これまでは故チャーリー・ホワイティングを中心とした事前サーキット確認が行われていたが、その確認作業が不充分だった可能性もある。
なお、レッドブル・ホンダ勢はスペック2の投入に伴って今季2基目のICE、TC、MGU-H、MGU-Kを使用。トロロッソ・ホンダ勢はスペック2のICEのみの新規投入で今季3基目。アルファロメオ勢はCEを新品に交換し、アントニオ・ジョビナッツィは今季3基目のCEとなったため10グリッド降格ペナルティが科されることになった。