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槇原敬之は「世界に一つだけの花」を歌い継いでいく 楽曲通じて伝えるメッセージとSMAPへの敬意

2019年04月26日 11:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 槇原敬之が本日4月26日、平成最後の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、「世界に一つだけの花」を披露する。同曲は槇原がSMAPのために書き下ろしたものである。


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 「世界に一つだけの花」といえば、“平成を代表する一曲”と言っても過言ではない。元々はアルバム収録曲でドラマ『僕の生きる道』(フジテレビ系)の主題歌に起用されると、“ナンバーワンよりオンリーワン”のメッセージが共感を呼んでシングル化され、累計312万枚を売り上げた“平成最大のヒット曲”となった。日本音楽著作権協会(JASRAC)は、平成で最も著作権使用料の分配額が多かった楽曲が同曲だったと発表。また、共同通信社が2019年2~3月に行なった、平成の時代に関する郵送世論調査(3000人対象)で、「平成の時代に流行した好きな歌」の1位も同曲だった。


 4月1日、新元号「令和(れいわ)」の発表を受けた安倍晋三首相の記者会見でも同曲が引用され、「平成の時代のヒット曲に『世界に一つだけの花』という歌がありましたが、次の時代を担う若者たちが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そのような、若者たちにとって希望に満ち溢れた日本を、国民の皆さんとともに作り上げていきたいと思っています」と発言した。


 槇原はこれまで『ノンストップ!』(フジテレビ系)などで「世界に一つだけの花」誕生秘話について明らかにしてきた。オファーからの納期がわずか2週間という中、当初は別楽曲「Wow」を提案。しかしボツになったため「家でふね寝」していたところ、紙芝居のように写真が降りてきて、それを書き写す感覚で、2、30分で同曲を書き上げたそうだ。SMAPに神様が「どうしても歌ってほしいことがある」と言ったかのようだったという。「人がそれぞれ個性を持ったSMAPが歌った歌だからこそ、あの歌の価値になった」と、楽曲の生みの親として歌唱したSMAPへの敬意を示していた。


 さらに、槇原はこの曲について、「自分が一番になりたいということだけのために、ともすれば人を蹴落としてそれを手に入れているような時代がちょっと前まであった。『何と嘆かわしいことをしているんだ』というのがテーマ」と語っている。同曲を収録したアルバムが発売されたのは2002年=平成14年という、ちょうど平成の真ん中。当時、日本は不況の最中だった。槇原が「ちょっと前」と語るのは、バブル崩壊前のことだろう。戦後復興・経済成長を最大目標に掲げて走ってきた昭和から、人それぞれの幸せとは何かを考えるようになった平成。〈そうさ 僕らは 世界に一つだけの花 一人一人違う種を持つ その花を咲かせることだけに 一生懸命になればいい〉という歌詞は、自分の存在意義や、頑張るべき方向に迷っていた人々に、圧倒的な肯定感を与えたと言えるだろう。〈小さい花や大きな花 一つとして同じものはないから NO.1にならなくてもいい もともと特別なOnly one〉は、他者を認める大切さを歌い、何より平和を願う時代を象徴していた。この楽曲は平成という時代に、日本人が求めていたこと、そして進むべき未来への道標を、あたたかく示してくれたのだった。


 槙原は、SMAP解散発表直後に出演したラジオ番組で「歌い継ぐのは僕らしかいない!」と宣言した。今晩、“平成最後”の『Mステ』で、一人一人がオンリーワンであることを認め合い、花を咲かせる令和の時代に向けて、槇原が「世界に一つだけの花」を歌い継いでいく。(深海アオミ)