2019年04月26日 10:01 弁護士ドットコム
みなさん10連休のGWはどのように過ごす予定ですか。仕事や子どもの部活・クラブなどがある人は遠出せず近場でと考えている人も多いかもしれません。
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子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板には、「GW4月30、5月1日、2日祝日扱いにならないの?」と題したスレッドで、GW中に出勤を半ば強制されているという投稿がありました。
スレッド主は、パートで祝日は休みの契約のはずが、4月分のシフト表には27~29日は休みで30日は出勤となっていたそう。「このままだと1、2日も出勤ってことになるよね」と不安を抱いています。これに対し、「今回の『国民の休日』は休みではないと説明を受けました」と話す人もいました。
また弁護士ドットコムにも「4月30日、5月1日、2日はカレンダー通り平日扱い」と言われたという相談が寄せられていました。相談者の女性は「労働条件通知書」で土日祝日休みでサインしましたが、「半ば強制で出勤となりました」と話しています。
GWに休日出勤を強制された場合、受け入れるしかないのでしょうか。今井俊裕弁護士に聞きました。
今年は、皇太子さまが即位する5月1日と、「即位礼正殿の儀」が行われる10月22日を「国民の祝日」と定めることが法律で定められました。
国民の祝日と休日は「祝日法」(国民の祝日に関する法律)で定められています。歴史的な理由などから、国民がこぞって祝い、感謝し又は、記念する日を「国民の祝日」と名付けています。
この法律がさす「休日」には、国民の祝日、振替休日、祝日と祝日に挟まれた日、の3種類が含まれます。これを祝日法に基づく休日と言います。
今年のGWも、次の3種類に分けることができます。
【国民の祝日】4月29日(昭和の日)、5月1日(新天皇即位)、3日(憲法記念日)、4日(みどりの日)、5日(子どもの日)
【振替休日】5月6日(5日が日曜のため)
【休日】4月30日、5月2日(祝日と祝日に挟まれた日)
今年はそのため「10連休」という会社員は多いはずです。一方、雇用されている従業員にとって会社に出勤しなくともよい日、つまり労働義務がない日、というのは、国民の祝日に関する法律に拘束されるものではありません。就業規則や労働契約の規定によって定まるものです。
例えば、就業規則で「休日は土曜日、日曜日、国民の祝日とする」とだけ定めているに過ぎないのであれば、原理原則からいえば、今年の例では4月30日や5月2日、6日は、会社の所定休日には該当しません。
確かに祝日法によれば、祝日と祝日に挟まれた日なので休日にはなりますが、しかしそれは、あくまで法律上は休日となるというだけであり、労働者が勤務している会社の休日は別のルール、つまり就業規則や労働契約で決まることだからです。
4月30日や5月2日、6日は、「土曜日」でもないし、「日曜日」でもないし、「国民の祝日」つまりなにかの記念日でもありません。カレンダーでは赤字になっていても、国民の祝日ではない休日、ということだからです。
とはいっても、「祝日法に基づく休日」には会社に出勤しない、という慣行が認められるような職場も多いでしょう。
とすれば書かれざるルール、つまり労働者と使用者側の間において、規則に明確なルールがないものの、長年守られてきた労使慣行のひとつとして、「4月30日や5月2日は会社に出勤する義務のない日である」という主張も成り立ちうると思います。労使慣行というのは文書で明記されているものではありませんが、労働条件を補完するものです。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
今井 俊裕(いまい・としひろ)弁護士
1999年弁護士登録。労働(使用者側)、会社法、不動産関連事件の取扱い多数。具体的かつ戦略的な方針提示がモットー。行政における感染症診査協議会、開発審査会の委員を歴任。
事務所名:今井法律事務所
事務所URL:http://www.imai-lawoffice.jp/index.html