全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦を取材するため鈴鹿へ出かけ、金曜夜に出向いた居酒屋で燗酒を頼んだら登場したのがこちら。1合瓶で供される日本酒は久しぶりで、なんだかちょっと嬉しくなった。
岡山でのスーパーGT開幕戦から帰って、もろもろ原稿を書いているうちに、もう翌週にはスーパーフォーミュラの開幕戦だ。近年のレースカレンダーはなかなかハードである。このところ運転が疲れるので、鈴鹿への移動には新幹線とレンタカーを使うことが多かったが、今回はいろいろ都合もあってマイカーで出かけた。
我が家から鈴鹿サーキットまで、休憩を挟んでちょうど5時間ほどかかる。
今回は2&4イベントで関係者が多いせいか、鈴鹿近辺の宿泊施設が混み合っていて、金曜日はかろうじて近鉄白子駅前のホテルをとれたけれど土曜日は満室で、四日市のホテルへ移らねばならなかった。
金曜日は久しぶりの友だちが同じ鈴鹿であってもサーキットを挟んで反対側にある平田町のホテルに泊まっているという。そこでぼくは取材を終えて白子のホテルにチェックインした後、白子駅前からバスに乗って平田町へ向かった。運賃430円、約30分のバス旅である。
バスの窓から鈴鹿の町並みを眺めた。ぼくはバスに乗るのが大好きなのだ。ところがそのうち手元のスマホに、「今晩行くつもりだった居酒屋は満員で入れない」と、先に出向いた友人からラインのメッセージが飛んできた。がっかりしながら改めて駅前で落ち合った。
平田町には名店がいろいろあるが、この分だと多分どこも満員だろうし、それならあまり行ったことのない店に入ってみようかと突入したのが平田町駅近くの「鳥元」だった。
取材先ではできるだけレース関係者に出くわさないような店を探す。だって昼も夜も同じ顔を見たら気分転換できないし、そもそも他人の悪口をツマミにできなくなってしまうじゃないの(笑)。あと、あまり新しくて清潔な若者向けの店も個人的に好きではないので避ける。
鶏元は新しめは新しめの店で一瞬迷ったけれど、入店してみたらほどよく年季が入っていて大変雰囲気がよろしい。
もう店内はかなり賑わっていて一瞬満席かなと思ったら運良くテーブルが一つ空いていて無事着席できた。店のスタッフも若めで、ぼくのあまり好まないパウチメニューが出てくるかなと思ったけれど幸いにしてきちんとしたお品書きがあった。注文を取りに来てくれた女店員さんも明るくて気持ちの良い応対をする。
名物が「とりみそ串」だというので注文して生ビールを飲んだ。昼間は暑かったからなあ。このとりみそ串、焼き鳥に辛味噌をからめたものだが、名物だけあってなかなかいける。ビールにはぴったりだ。それで調子に乗ってもう少し呑むかと燗酒を注文した。日が陰ってから寒くなってきたからなあ。で、出てきたのが冒頭の1合瓶である。
いやもうオッサンの心わしづかみだよね。このビンで呑む燗酒はなんだか妙においしいんだ。なんか、懐かしさのようなわびしさのようなものがお酒の味を膨らませるのかもしれない。この店には普通の焼き鳥もあって、これもネタが良いようでおいしい。
あえて反省するなら、前半に普通の焼き鳥を食べて、後半に味の強いとりみそ串を食べれば良かったなあと思うけれど、じゃいつビールを呑めば良かったか? と、どうでもいいことで考え込むのは酒呑みの脳が劣化してきたからだと思う。何にせよ大満足で翌日からの仕事に意欲がでてきた……ような気がした。
週末は天気も良くて、鈴鹿サーキットには大勢のファンが来場、決勝日のピットウォークはラッシュアワーの雑踏状態のようになったけれども、ぼくは鈴鹿のビッグイベントではこれを見なくちゃモグリという、ジャパンレスキュークラブによる救出デモンストレーションを今年も見学した。FIAから各国のF1サーキットに配布されるという救出訓練用モノコックは、ヘイロー付きの最新バージョンにアップデートされていた。1回、あそこから救出される役を経験してみたいんだけどな。