2019年04月25日 10:21 弁護士ドットコム
静岡市清水区の路上で、下校中の男子中学生に、自転車に乗った男性が「ほらよ」と言いながら、アダルトDVDを放り投げてくるという事案があった。
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静岡県警の情報サイトなどによると、男子中学生は4月9日夕方、静岡市清水区の路上を歩いて下校していた。そこに自転車に乗った男性があらわれて、アダルトDVDを「ほらよ」と放り投げてきた。
男は50代くらいで、体格はやせ型。赤いトレーナーに、黒いジーパン、黒色のマスク、白色と赤色のスニーカーという服装だったという。ネット上では「サンタクロースだ」という声もあるが、中学生にアダルトDVDを渡すのは罪に問われないのだろうか。
わいせつ事件にくわしい奥村徹弁護士に聞いた。
「アダルトDVDが、刑法上の『わいせつ』(刑法175条1項)にあたる場合には、わいせつ電磁的記録媒体頒布罪の疑いがあります。(法定刑:2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金もしくは科料に処し、または懲役及び罰金を併科する)
『頒布』(はんぷ)とは、不特定または多数の人に対して交付・譲渡することをいいます。たまたま1人に交付・譲渡したに過ぎない場合だったとしても、それが不特定または多数の人に対して交付・譲渡する意思でされたものであれば、頒布にあたります。
また『わいせつ』(刑法175条1項)にあたらない場合でも、地域の青少年条例の有害図書にあたる場合には、青少年への頒布が禁止されています。しかし、罰則はありません(静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例)。
さらに、各地の迷惑防止条例では、『公共の場所または公共の乗物において、卑わいな言動をすること』が禁止されています(静岡県迷惑行為等防止条例)。
『卑わいな行為=社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作をいう』(最決平成20年11月10日)とされていますので、行為状況よっては、卑わい行為として処罰されることがあります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。
事務所名:奥村&田中法律事務所
事務所URL:http://www.okumura-tanaka-law.com/www/top.htm