元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーにとって、アイルトン・セナが彼が考えるF1ドライバーの頂点に位置しているが、今ではメルセデスのルイス・ハミルトンが伝説のセナに肩を並べていると見ている。
10回のグランプリ優勝経験を持ち、1991年から1993年の間にマクラーレンでセナとともにレースをしたベルガーは、元チームメイトで友人でもあったセナが、F1の歴史における最も輝けるスターだと今も考えている。
だが、1994年5月1日にイモラで亡くなったセナの25回目の命日を前にベルガーは、ハミルトンも競技上の業績においては同じくらいの輝きを持っていると語っている。
「誰もが私に『アイルトンと比べてこのドライバーをどう思う?』と聞いてきたが、私はこれまでいつも、『アイルトンに迫るドライバーは誰もいない』と答えてきた」と59歳になるベルガーは語った。
「だがルイスは、私がアイルトンと同じレベルだと捉えている初めてのドライバーだ」
ベルガーのハミルトン評価は、統計を基にしたものではなく、ハミルトンのキャリアと業績に対して彼が受けた印象や感触を基にしたものだと主張した。
「私は自分で感じたことや見てきたことで判断する。これまでネルソン(ピケ)、ニキ(ラウダ)、(アラン)プロスト、ミハエル(シューマッハー)のような偉大なチャンピオンたちが存在した。だが私にとって常にひとり抜きん出ている者がいる。それがアイルトンだ」
「そして今ではルイスも同じレベルにあると見ている」
統計を見ると、5度の世界チャンピオンであるハミルトンは75勝を上げており、7度のタイトルを獲得したミハエル・シューマッハーの記録91勝に近づいている。一方セナの記録は41勝だが、その記録が1994年のイモラでの運命の日に断たれてしまったのは明らかだ。
「比較?私はアイルトンが今も勝っていると思う。結局のところ、アイルトンは魅力的で個性のある男だった。そして命を失い、伝説として我々とともにいるということは、変わることのない特別なことだ」とベルガーは付け加えた。
「だがパフォーマンスの観点から見ようとすれば、ルイスは1回のポールポジションを次のポールポジションに繋げ、1回のレース優勝を次の優勝に繋げている。アイルトンがそうだったようにね」
「彼はそのような優れたやり方で戦い、今のところ無敵に見える」
「もちろん彼には最高のマシンとエンジンがあるが、現時点で群を抜いて最高のドライバーだと思うよ」
「私としてはミハエルの記録を守りたい。ああした悲劇を目にするのはとても悲しいことだからね」
「しかしそうしたことを考慮しなければ、ルイスは私がF1にいた時から今までずっと見てきたなかでも、非常に特別なドライバーだよ」