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UUUM代表取締役・鎌田和樹氏が宮藤官九郎に「YouTuber」を解説 「テレビとYouTubeは敵/味方じゃない」

2019年04月24日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

 4月22日に放送されたTBSラジオ『ACTION』に、UUUM株式会社の代表取締役社長・鎌田和樹氏がゲスト出演した。「クドカン」こと宮藤官九郎氏がパーソナリティを務め、ゲストの愚痴を聞くコーナー「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど…」で、YouTubeトークをくり広げた。


(参考:UUUM宮崎オフィス開設! 立地協定締結式によーらい、田中日菜、佐藤あやみが出席) 


 鎌田氏は日本のトップYouTuber・ヒカキンとの出会いをきっかけに、インフルエンサーマーケティング/YouTuberのサポートを手がけるUUUM株式会社を設立。現在所属しているYouTuberは300組以上、サポートしているチャンネルは7500を超える。さらに国内のYouTubeチャンネルのチャンネル登録者数トップ10のうち9つをUUUM所属のクリエーターが占めている。


 鎌田氏が35歳だと知ると、「若いですね!」とクドカンは驚いた様子。YouTuberが事務所に所属しているということを知らなかった様で、UUUMが業界で圧倒的な影響力をもっていることを知り、終始驚きを隠せなかった。鎌田氏いわく「会社を設立してまだ6年しか経っていないのですが、YouTubeは一人でできると思っている方が多い。なんで事務所に? と疑問を持つ方も多いが、話していくと『ああなるほど』となる」とのことだ。


■UUUMとは? YouTuberとは? クドカンが鎌田氏に聞く
 鎌田氏は「僕の会社は一言でいうなら、YouTuberの事務所」と語り、創業当初は7~8人のYouTuberのマネージャー(バディ)を1人で担当していたことを明かした。現在は複数のクリエーターに1人のマネージャーの場合もあるが、例えばヒカキンには2人マネージャーがついているおり、現場についていくなどサポートを行なっているという。これに対し、「うわーすげー。俺は何かに対して一人ですよ! あそこにいるマネージャーは専属じゃないですよ! 何人か掛け持ちでやってらっしゃいますよ!」とクドカン。笑いが起こった。


■YouTubeとテレビ
 クドカンはYouTuberの魅力について、「動画の編集の仕方が上手い。気の利いたことや芸人みたいにあざといコメントはないがテンポと字幕がいい。親しみが湧く。見ていて丁度いい感じに好感をもった。今はYouTubeが『見る』ことの一番のツールになっていると思う。テレビほどちゃんとしてないけど面白いよね? みたいなことはいっぱいありますよね」と語る。


 これに対し鎌田氏は、「テレビやラジオなどをやっている方からは編集を褒められることが多い。基本的に編集はYouTuber自身が行っています。テレビまで作り込んでしまうと、『身近な感覚』にはならないと思う。YouTuberは動画を出すなかで、今日はこれを試してみよう、みんな思ってるけどやってないことをやってみよう、という感覚で作っていることが多いので、身近な感覚はあると思う」と語った。


 また鎌田氏は、「YouTuberは有名になりたい、テレビに出たい人たちなんじゃないか?」と周りからよく言われるそうで、「もちろんテレビに出演するのは嬉しいことだが、それが目的ではないと思う。それに、テレビとYouTubeの編集の仕方が違うので怖いところもある」として、テレビでは「文脈」が変わり、YouTuberの魅力が正確に伝わらないことがあることも明かしていた。


 YouTuberの収入システムが気になるクドカンに対して、「動画内で再生されるCM(広告)が見られることによって収入になる。人気になってくると企業案件、グッズ販売やイベントの開催もする」と鎌田氏が説明。「登録者が多い=テレビでいう視聴率が多いということ?」という質問に対しては、「少しむずかしいのですが、登録者数よりも動画の再生回数がそれに該当すると思う。登録者数やTwitterのフォロワー数も大事」と回答。クドカンも、徐々にYouTubeのシステムが分かってきたようだ。


 鎌田氏は、「テレビは敵か?」「テレビとYouTubeどっちが面白いの?」と質問されることが多いそうだが、「見る人も違うし、YouTubeはいつでも見れる、余暇時間を楽しむためのエンタメのひとつでしかない。逆に僕はテレビっ子。敵とか味方とかじゃなくて、番組を見る人たちを育てていけたらいいなと思っている」と語った。YouTubeで面白いと思った動画をテレビで見ても面白いと感じるか分からないし、YouTubeの人気動画をテレビで見ても面白いと感じるかわからないというのは、両者同意見のようだ。


■クドカンと鎌田氏にとって「数字が見えること」の意味は?
 YouTubeは「チャンネル登録者数」や「動画の再生回数」といった数字をリアルタイムで確認することができる。これに関しては両者考え方が全く違うようだ。


 鎌田氏はリアルタイムで自分の作品の評価が数字として見えることを「面白い」と考えているが、クドカンはリアルタイムで数字がわかるのは怖いようで、「俺は無理ですね。胃が痛くなる。そこに重きを置いてないのかもしれないし、それを目的にしていない人がまわりに多いからそうなのかな……。我々の仕事は、数字の良い悪いで一喜一憂するのは耐えられない人たちの集まりかもしれない」と語った。ここで時間がきてトークは終了。「またぜひ来て下さい!」とクドカン締める。


 宮藤官九郎のような日本を代表するクリエイターと、インフルエンサーマーケティングのトップランナーによる、短時間ながら濃密な対談。いまや一般的になったものの、まだまだ偏見も少なくない「YouTuber」という存在を理解するための、充実した内容だった。気になる人は、rajikoのタイムフリー機能でチェックしてみよう。


(REV)