トップへ

矢継ぎ早に飛ぶ厳しい質問に、「正しい決断だった」と主張を曲げないフェラーリ代表/F1第3戦中国GPレース後会見

2019年04月23日 13:21  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

F1中国GPでもメルセデスに完敗し暗い雰囲気のフェラーリ会見
ふたりのドライバーとチーム代表を交えたフェラーリのレース後会見が、マッティア・ビノット新代表が就任した今年から復活した。去年までのマウリツィオ・アリバベーネ代表時代は、本人が出席を嫌がっていつのまにか廃止されていたものだ。

 われわれ報道陣にとっては当事者たちのレース直後の肉声が聴けるだけに、もちろんこの措置は大歓迎である。しかしメルセデスに惨敗したF1第3戦中国GPレース後の会見では厳しい質問も矢継ぎ早に飛び、時おり緊迫した雰囲気に。出席した3人には、さぞ居心地の悪いものだったことだろう。

──チームオーダーに関して、あなた自身は納得できていますか。
シャルル・ルクレール(以下、ルクレール):レース後のチームミーティングで、しっかり説明してもらった。あの時の僕は、かなり難しい状況に見舞われていた。

 グリップしないタイヤに手こずっていたし、それはセブ(セバスチャン・ベッテル)も同じだったけれど、それでもまだ彼の方がうまくタイヤを持たせられていた。僕に接近して走り続けたことで、フロントタイヤにダメージが出始めていたとは言っていたけどね。それで、まあ……。

──ベッテルのタイヤもその時点でダメージがあったということですが、ならば11周目まで待たず、もっと早いタイミングで順位を入れ替えるべきだったのでは?

マッティア・ビノット代表(以下、ビノット代表):その判定は、なかなか難しいところでね。逃げるメルセデスに迫るために、一刻の猶予も許されない状況だった。あらゆる可能性を考えた末に、セバスチャンに追撃を託した。結果的にうまくいかなかったが、セブに託した決断自体は正しかったと思っている。

──第2スティントでルクレールがあそこまで待たされた、その理由はなんでしょう?
ビノット代表:タイヤの摩耗状態が正確に把握できるまで、できるだけ長くステイアウトさせるつもりだった。1ストップで、最後まで行かせたかったしね。それがシャルルが順位を回復できるベストの条件のはずだった。しかし結局は、もう一度ピットインさせざるを得なかったわけだが。


──セバスチャンに質問ですが、あなたにタイトルを取らせたいというチームの基本方針からすれば、今回の戦略は十分にそれに沿ったものと言えたでしょう。しかし今後は、レースの状況次第では、ナンバー1の待遇も変わりうるのではないか。一方であなた自身は、ずっとチームからのサポートを受ける必要があると考えていますか?
セバスチャン・ベッテル(以下、ベッテル):さあね。ルイス(ハミルトン)にでも、訊いてみた方がいいんじゃないかな。メルセデスとフェラーリでは状況は違うけど、彼らもこれまで何度も似たような局面に遭遇しているからね。

 でも確かなのは僕らは、チームにとって何が最善かを考えて行動しているということだ。2週間前のバーレーンでは明らかにシャルルの方が速かったので、彼が先行するのが順当だったし、それも簡単にできた。その週末の状況によって、すべては変わりうるということさ。

──ビノット代表、レース序盤でのチームオーダー発令は難しい決断でしたか。そしてシャルル、それを簡単に受け入れることができたのでしょうか。

ビノット代表:序盤かどうかにかかわらず、ドライバーというのは戦うためにコース上を走っている。それを十分理解しているからこそ、チームオーダーを出すのは常に難しいものだ。しかしシャルルはチームのことを考えて、それを受け入れてくれた。そして改めて繰り返すが、これは正しい決断だったと信じている。

ルクレール:クルマと格闘し続けて、ずっとフラストレーションを抱えていた。一方でレース全体がどんな風に進んでいるかを、ドライバー個人は俯瞰できない。それもあって、チームの決断に従った。

──開幕3戦すべてで1-2フィニッシュを決められ、メルセデスにはすっかり離されてしまいました。今後、追い付けるメドはあるのでしょうか。

ベッテル:確かに今の状態は、喜ぶべき状況じゃない。でもまだシーズンは始まったばかりだし、膨大な選択肢の中から何が正しく、何が間違っているかを的確に判断して、進んで行くだけだ。

 もちろんそれが、簡単なことじゃないのはわかっているけどね。戦闘力で大きな差はないはずなのに、なぜこれほどのポイント差を付けられてしまったのか。その原因をしっかり究明する必要がある。でも今後の戦いに向けては、決して悲観的になっていないよ。

司会:もうちょっと前向きな質問をしてくれませんか。

(一同笑)


──レース終盤、ソフトタイヤを履いて順位を上げようとした、あるいは実際に上げたドライバーも何人もいました。フェラーリはなぜ、保守的なミディアムタイヤに固執したのでしょう?

ルクレール:タイヤ選択はチームの決断だったのでよくわからないけど、第1スティントのミディアムは、すごくよく機能していた。それに対してここでのソフトは、すぐにダメになるのがわかっていたからね。予選でさえ、1周ですぐに劣化していたし。ピットでどんな話し合いがされたのかは知らないけれど正しい決断だったと思っているよ。

──冬のバルセロナテストを含めると、4つのサーキットでフェラーリの戦闘力は大きくアップダウンを繰り返しています。何か隠された技術的な問題があるのか、あるいは単純にセッティングの問題なのでしょうか。

ビノット代表:なぜ戦闘力が上下するのか、正確に答えるのは難しい。ただし開幕戦メルボルンでのあまりの劣勢は、例外的なものだと思っている。あまりに予想したものと、かけ離れていたからね。

 一方でバルセロナ、バーレーン、そして中国でのメルセデスとの差は、せいぜいコンマ1、2秒の極めて接近したものだ。マシン性能をいかに限界まで絞り出せるか、サーキットによって程度が違う。その差が出ているのだと思う。

司会:次回はもう少し、ポジティブな質問を下さいね(苦笑)