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松坂桃李×山本美月『パーフェクトワールド』対談 「思い切って頼ることも時には必要」

2019年04月23日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 松坂桃李と山本美月が共演するドラマ『パーフェクトワールド』(カンテレ・フジテレビ系)。女性コミック誌『Kiss』(講談社)で連載中の有賀リエの同名コミックが原作のラブストーリーとなる本作は、大学時代に事故に遭って脊髄を損傷し、車いすで生活をしている建築士の主人公・鮎川樹が、高校の同級生・川奈つぐみと再会し、生き方に変化が訪れていく。


【写真】樹役の松坂桃李


 先日行われた制作発表会では、前日の撮影が夜中の2時まで続いていたことをプロデューサーの河西秀幸が明かし、「厳しい環境になると松坂くんの本来の良さがじわじわと出てくるなと思っていて、『パーフェクトワールド』でも適度に彼を追い込みながら撮影させていただければなと」と松坂への絶大なる期待を寄せる場面も。舞台挨拶後に、松坂と山本がインタビューに答えてくれた。


■松坂「激甘です」


ーー撮影に入られていかがですか。


松坂桃李(以下、松坂):ロケもあったりして、日々撮影する場所が違うことも多いので、その度に新しい発見があります。お芝居をするにあたって、あーそうか、ここも気をつけなきゃいけなかったかと感じています。ようやく慣れたかなと思っても、また新しいことが更新されていくというか、その繰り返しですね。


山本美月(山本):初めの頃はすごく緊張していて、松坂さんが隣にいるだけで緊張していたんですけど、最近はそんなこともなく、楽しく現場で過ごしています。毎日朝から夜まで、現場の方とみんなで仲良くやっています。


松坂:ははは(笑)。


山本:え、何ですか?(笑)


松坂:ホントですか(笑)。それは良かったです。そう思っていただけて嬉しい。


山本:すごく忙しいのに全然疲れを見せないし、昨日も2時まで撮影やっていたのにさっきも「眠いー?」って聞かれて「眠いです」って言ったら「全然眠くない」って言うからすごいなーって。


松坂:いやいや(笑)。河西さんからの「追い込んだほうがいいんだよ」の発言にはびっくりしました。そんなこと思いながらやってたんだって、信じられない事実でしたね。


山本:知らなかったです。松坂さんだけなんですか?


松坂:いやいやいやいや(笑)。僕は本当はそうではないですけど、僕と一緒に絡んでる人たちも巻き込まれてしまうから、それはね、得てしていかがなものなのかなと!(笑)


ーー実際にその役を自分の中に落とし込んでみて感じた印象は?


松坂:樹は自分にすごく厳しい人だなと思いました。仕事においても生活においても何事においても一切妥協はしなくて、事故に遭ったことも、そういう気持ちを強くさせたと思うんです。回を追うごとに、どういうリハビリを通して彼が強くなっていったのかが明かされていくんですけど、ヘルパーの葵さん(中村ゆり)が、すごく厳しいことを言うんです。悔しい思いをしながらも仕事に復帰できて、それが故に恋愛だったり、そういったこと全てを諦めているところがあるんだなと感じました。


ーーご自身は自分に厳しい方ですか?


松坂:激甘ですね(笑)。


ーー河西さんに追い込まれて?(笑)


松坂:ねぇ(笑)。そういうつもりでやってたのかと思うと今後とんでもないスケジュールを組まれるんじゃないかとヒヤヒヤしているんですけど。仕事をするにあたっても、どこか怠けたいと思う自分もいれば、あぁ、今日は本当にもうちょっとゆっくりしたいなって思ってしまう自分もいれば、今日撮影休みにならないかなって思う自分もいれば、そういう甘いことばっかり考えてしまう時はあります。


ーー役を通して自分に厳しくしようと思ったりも?


松坂:そうですね。樹のように意思を強く持ってやっている人を見ると、自分のそういう気持ちがちょっと恥ずかしくなるところはありますね。


ーー山本さんはいかがでしょう?


山本:最初の頃は、つぐみの役に対して「ザ・ヒロイン」のイメージを抱いていたんですけど、演じていくにつれてつぐみの心情の波を感じるようになって。台本を読んでる時には、すごく女の子っぽい子だという印象があったけど、演出を受けると意外とつぐみってこんなに人間臭いんだなと思う部分もあったりして、つぐみに足りないものがだんだんと見えてきた気がします。


ーーつぐみに足りないものは、具体的に何でしたか?


山本:自分に対する自信のなさがひしひしと伝わってくるんです。鮎川くんのことがすごく好きという気持ちは真っ直ぐだけど、好きだけじゃダメというか。より現実が見えてくることで鮎川くんが苦労して頑張っている姿を見て気づかされるものもあって。自分自身が考えていたことが本当に薄っぺらかったなとか、もう少しちゃんと深いところまで考えて鮎川くんと接しなきゃいけないんだなとすごく気づかされます。


ーー山本さん自身は、自信というのは?


山本:ないです。松坂さんにも「ネガティブだね」と言われたんですけど……。


松坂:すごい、よーく覚えてるね、そんなこと言ったかな?(笑)


山本:取材の時に言われました。全然自信がなくて、いつも大丈夫かな? って。いまお芝居していて松坂さんがやりにくいとか思っていないかなって心配しながらやっています。


ーー役を通して自分に自信を持てるように?


山本:なったらいいなと思いますけど、あんまり自信持ちすぎてもよくないと。ほどほどに持てたらいいですね。


ーーつぐみの気持ちで共感できる部分はありますか?


山本:傷ついてそれを乗り越えたからこそ生まれる人間性みたいな部分はとても素敵だなと思います。勉強させてもらうことの方が多いような気がしますが、つぐみとはお互いに高め合いながらというか、足りない部分を補っていきたいです。


■山本「好きなことは貫いて諦めないで欲しい」


ーー菅田(将暉)さんが歌う主題歌が「まちがいさがし」はいかがですか?


松坂:樹の感情に寄り添っているような感じもしましたし、『パーフェクトワールド』の世界観としてエンドロールにかかる想像が容易にできてしまうぐらいピッタリだなと思いました。何より菅田の歌ってる感情がビシビシ伝わってきます。


ーー樹もつぐみも夢に向かっていきますが、春に新生活を迎えた人たちに夢を叶えるために何かアドバイスをお願いします。


松坂:新しい生活に入ると一人でできることと一人でできないことは絶対出てくると思います。自分の気持ちとしてはあんまり頼りたくないというか、自分でやっていける強さが欲しかったり、そういう思いが多分あると思うんですけど、でも思い切って頼ることも時には必要だと思います。支え合って何かを一緒に成し遂げることってとても素敵なことだと思うし、それによって見えてくる世界がまた変わってくることもあるし。やる気に満ち溢れていて、やったろ! という気持ちもあると思うんですけど、その気持ちを大事にしつつ、頑張りすぎず、適度に誰かに頼って、進んでいって欲しいです。


ーー新人の頃を思い返すとどうですか?


松坂:いやぁ、今でも、本当に頼りっぱなしです。この仕事って一人では成立しないので、こうして自分がお芝居をしていないところで、見えないところで動いてる人がいたりとか、一つの作品をお客さんに届けるにあたって本当にいろんな人たちが関わっていて、その一部にすぎなかったりするので、僕なんかも。そういうことを踏まえていくと、本当に支えられて、支えての繰り返しで成り立ってるんだなってつくづく思います。


山本:全部を100%でやらなきゃいけないなという意識が昔はとてもあって、友達に疲れちゃうからたまには70~80%でやっていいんじゃないかと言われたことがあったので、気が付いた時にはちょっとパーセンテージ減らしてみようかなと思いながらやっています。あとは、好きなことは貫いて諦めないで欲しいです。


(大和田茉椰)