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12歳の少年が両親を告訴する 第71回カンヌ映画祭審査員賞受賞作『存在のない子供たち』7月公開

2019年04月23日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞とエキュメニカル審査員賞を受賞した、ナディーン・ラバキー監督最新作『カペナウム(原題)』が、『存在のない子供たち』の邦題で7月に全国公開されることが決定した。


参考:場面写真はこちらから


 第91回アカデミー賞、第76回ゴールデングローブ賞の外国語映画賞にレバノン代表としてノミネートされた本作は、わずか12歳で裁判を起こし、両親を訴えた少年ゼインの姿と、その背景にある中東の貧困、移民などの社会問題を描いた衝撃作。メガホンを取ったラバキー監督は女優としても活躍しており、5月14日より開催される第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門の審査員長を務めることも先日発表された。


 12歳で、裁判を起こし自分の両親を訴えたゼイン。裁判長から「何の罪で?」と聞かれた
ゼインは、まっすぐ前を見つめて「僕を産んだ罪」と答えた。中東の貧民窟に生まれたゼインは、両親が出生届を出さなかったために、自分の誕生日も知らず、法的には社会に存在すらしていない。学校へ通うこともなく、兄妹たちと路上で物を売るなど、朝から晩まで両親に働かされている。唯一の支えだった大切な妹が11歳で強制結婚させられ、怒りと悲しみから家を飛び出したゼインを待っていたのは、大人たちが作ったさらに過酷な“現実”だった。


 リサーチ期間に3年を費やし、主人公ゼインをはじめ出演者のほとんどは、似た境遇にある素人を集めた。感情を“ありのまま”に出して自分自身を生きてもらい、彼らが体験する出来事を演出するという手法をとった。 (リアルサウンド編集部)