マクラーレンF1チームのスポーティングディレクターを務めるジル・ド・フェランは、チームが2019年シーズンを確固とした成績でスタートしたにもかかわらず、浮足立ってはいない。
この数年は低迷状態が続いたマクラーレンだったが、開幕戦オーストラリアGPではルーキーのランド・ノリスが予選Q3に進出し、復活の予兆を見せた。彼はバーレーンGPでも、チームメイトのカルロス・サインツJr.とともにQ3進出を果たしている。
バーレーンではデビュー2戦目のノリスが6位フィニッシュを成し遂げたものの、中国GPでは両ドライバーともに予選と決勝のいずれもトップ10入りを逃す結果となり、チームは現実に直面した。
レース後、サインツJr.は「上海は僕らにとって常に厳しいサーキットであり、僕らに課せられた制限が露呈した」と話している。
マクラーレンが過去の栄光に近づくには、まだ長い道のりがあることをド・フェランは認めており、以下のように語った。
「我々は現状を厳しく認識している。今後、取り組むべきことが多くあることは把握しているよ」
「そのことは冬のテストの間も、最初の数戦でもずっと言ってきた。その考え方は変わっていない。我々の道のりは、まだ長いのだ」
それでも、チャンプカーとスポーツカーのドライバー経験を持つド・フェランは、2019年に見え出した良い兆候は、3年間のホンダとの提携で低迷していたマクラーレンがようやく正しい道のりを歩み始めたことを示唆していると見て、心強く思っている。
ルノーエンジンを搭載しての2年目となる今季、マクラーレンはコンストラクターズ選手権7位の座につけており、ワークスチームのルノーからは4ポイントしか離されていない。
「ルノーはパワーユニットパートナーとして、我々に対して素晴らしい仕事をしてくれている。彼らは間違いなく進歩を遂げており、さらに競争力のあるパワーユニットを提供してくれた」と、ド・フェランは述べている。
「昨年と比較すると、このマシンは一歩前進しているように感じているよ」
「我々はすべての物事をあるがままに受け止め、一歩ずつ、すべてのシチュエーションを最大限に活かそうとしてきた。それと同時に、我々はマシンを少しでも進化させるべく、とても集中して攻め続けた」
しかし、常に自分たちの過去を振り返ったり、最も近いライバルたちと比較することは有益ではなかったと、ド・フェランは言う。
「他が何をしているかは分からないし、何に悩んでいるかも分からない。もちろん理解しようと努力し、アイデアを出そうとはするが、確かなことなど何も分からない」
「我々がグループとしてコントロールできるのは、自分たちがすることだけだ。そしてそれこそが、我々が集中し、前進し続けるために必要なことなのだ。我々の目的は、誰が前にいようと上昇を続けることだ」
「振り返ってみればドライバー時代の私もそうだったが、ひとつの敵に集中する者もいる。けれども、そういった考えを私は持たない」
「他の全員と比較しての競争力の序列で言えば、立ち止まっているわけにはいかない。前進し、弱点に取り組み、マシンの開発を続けなければならないことは分かっている」
「簡単に言えば、1位や2位になるまで休むわけにはいかないのだよ」