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原田知世×田中圭『あなたの番です』“交換殺人”はマンション外も対象? 住人らの不審な行動も

2019年04月22日 12:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 死んでほしいと思う相手を発表するだけのゲームだったはずが、管理人の床島(竹中直人)の死によって“交換殺人”が現実になってしまったと、案の定疑心暗鬼に陥るキウンクエ蔵前の住民たち。日本テレビ系列日曜ドラマ『あなたの番です』は、21日に放送された第2話でいきなり急展開を迎える。それは、毎週誰か1人が命を落とすこのドラマのルールが、マンションの外へと波及するものであると証明されたからだ。第1話では手塚夫婦(原田知世・田中圭)が引っ越してきたことを皮切りに、マンション内という制限された空間でのみ物語が展開したが、今回は冒頭から住民たちの“マンション外”での姿が積極的に描写されていく。


参考:怪しい住人たち


 それは例えば403号室の藤井(片桐仁)が勤める病院でのやり取りであったり、502号室の赤池一家の嫁姑関係を示すような河川敷での散歩シーン。そして翔太の勤務先も2度にわたって登場し、帰り道で隣人の幹葉(奈緒)と行きあった翔太は手作りのウエハースと妙なアプローチを同時に受け取ることになる。さらに買い物帰りの手塚夫婦はシンイー(金澤美穂)に会い、彼女の働くブータン料理店で藤井と久住(袴田吉彦)と同席して身の上話を繰り広げる。第1話ではマンションの前か、物語の舞台を示すために登場するスカイツリーが見える場所で菜奈と早苗(木村多江)が偶然顔を合わせるシーンしか外の世界は登場しなかったはずだ。


 それだけに、この変化は本作における“死”が展開する場所、つまり“交換殺人”のゲームフィールドは外の世界だということが明確に示されるきっかけであると見ることができる。突然ニュース番組を介して知らされるのは、藤井が“名前を書いた相手”であり、テレビなどで活躍する医者・山際の死。考えてみれば管理人の床島も、住んでいるのはこのマンションではない。だとしたら、この“キウンクエ蔵前”という異様な空間にはどのような意味があるのか。それは今回の住民会の光景からもわかるように疑心暗鬼によって歪み始める人間関係であったり、たくさんの脅迫状と望んだはずの死によって追い詰められていく藤井のように、外にある“死”にかき回されていく人間たちの巣窟として存在するに過ぎないというわけだろう。


 また床島の死の真相がまったく見えない中で、容赦なく積み上げられていくマンション住人たちの不審さ……。401号室の木下(山田真歩)や204号室の西村(和田聰宏)のように些細な行動でのみ表されている者もいれば、菜奈と語り合うシーンによって比較的視聴者に近い存在として映し出された久住でさえ、サングラスとマスクという出で立ちで出かけようとするなど見るからに怪しい雰囲気を醸し出す。さらに、201号室の浮田(田中要次)を筆頭にした3人の住人は、チェーンソーや高枝切り鋏を持ってどこかへ出かけようとするシーンも登場。彼らが山際を殺した犯人ではないだろうかと視聴者の推理を誘う。


 しかしながら、もし彼らが犯人であるとすれば、床島の名前を書いた人物は浮田でなくてはならなくなる。さらに第1話で床島の死の直前にぞろぞろと203号室の面々が非常階段を降りてきたり、料理店で藤井に“ルール”を問いただすシンイーの様子から、先手を打ってゲームを実際の行動に移したのはシンイーだということになる。とはいえ、半年つづくこのドラマもまだ幕を開けたばかり。これらがすべて単なるミスリードだという可能性も充分だ。第1話で菜奈を尾行し、今回のエピソードで翔太に近づく謎の男・細川(野間口徹)の存在も相まって、このドラマの結末はおろか、それにつながる明確なヒントさえまだ見えそうにない。  (文=久保田和馬)