2019年のスーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿の決勝レース(43周)が行われ、4度のセーフティカーが導入される波乱の展開のなか、12番手からスタートしたVANTELIN TEAM TOM’Sのニック・キャシディが優勝を飾った。キャシディの優勝回数は、これで通算2勝目、予選でフロントウロウを独占したTCS NAKAJIMA RACINGの2台はリタイアの結果となった。
気温25度、路面温度37度のなか、ドライコンディションでレースがスタート。全20台のうち、8台がソフトタイヤ、12台がミディアムタイヤでのスタートを選んだ。フロントロウのTCS NAKAJIMA RACINGの2台はソフトタイヤを選択、他の上位陣では5番グリッドの関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がソフトタイヤでスタートした。
ポールポジションの牧野任祐(TCS NAKAJIMA RACING)が蹴りだしの良いスタートを決め、先頭でターン1に向かう。その後ろではミディアムタイヤを履く山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)がソフトタイヤを履くアレックス・パロウ(TCS NAKAJIMA RACING)に先行して牧野に迫り2番手に続く。
その後方ではスタートでオーバーテイクシステム(OTS)を使用したソフトタイヤ装着の関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がポジションを上げており、チームメイトの平川亮もミディアムタイヤながらそれに続く。山本はペースが苦しくなり、3周目には関口と平川にパスされてしまう。平川と山本は同じミディアムタイヤを履いているが、両者の差は開いていった。
そのなかで関口はピットから出る際にエンジンストールのような症状で出てしまい、ピットレーンでストップ。なんとか走行を再開できたものの、17番手までポジションを落としてコースに出た。しかし関口は翌周に再びピットへ戻り、ガレージへ。どうやらギヤのトラブルで1速、2速、5速を失ってしまったという。上位を走行していたITOCHU ENEX TEAM IMPULの2台はこの序盤で開幕戦のレースを終えることになってしまった。
一方、この時にステイアウトを選択した小林可夢偉(carrozzeria Team KCMG)がトップに浮上し、同様の選択をした国本雄資(KONDO RACING)が2番手、ドライブスルーペナルティを受けたパロウの3台がトップ3となった。ここで一気においしい状況となったのが、真っ先にルーティンのピットインを済ませていたキャシディだ。
コース上では各所でポジション争いが展開されていた。そして15周目には中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)の後方を走行していたハリソン・ニューウェイ(B-Max Racing with motopark)が、デグナーひとつめで中嶋のイン側に入り、両者が接触。予選ではスプーンで接触のあったふたりが決勝レースでも絡んでしまい、両者リタイアとなった。
これで、予選12番手スタートのキャシディが首位に躍り出た。キャシディはそのまま危なげなくトップで走り切り、新天地のVANTELIN TEAM TOM’Sで大逆転の今シーズン初優勝を挙げた。
2番手の山本はレース終盤に山下健太(KONDO RACING)に猛追されるも、そのままポジションを守り切り2位に。山下が3位という、結果的に昨年の最終戦と同じ表彰台の顔ぶれとなった。4位以下は野尻、坪井翔(JMS P.MU/CERUMO・INGING)、国本、ルーカス・アウアー(B-Max Racing with motopark)、ダニエル・ティクトゥム(TEAM MUGEN)までが入賞。9位以下は小林、アーテム・マルケロフ(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS)、福住仁嶺(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、大嶋となっている。