今泉力哉監督の映画『愛がなんだ』に寄せた、原作者・角田光代のコメントが到着。あわせて新たな場面写真が公開された。
4月19日から公開される同作は、角田光代の同名小説が原作。一目惚れしたマモルを一途に追いかけ、自分の時間を全てマモルに捧げるも、都合のいい女だと思われていることを自覚している28歳のOL・テルコと、彼女を取り巻く様々な人物を描く恋愛群像劇だ。テルコ役を岸井ゆきの、マモル役を成田凌が演じる。
公開された角田光代のコメントは、映画について感じた想いを原作者の視点で綴ったもの。「自分が三十歳のとき、もう若くないと思っていたけれど、今思えばとんでもなく若い。若さとはこんなにも寄る辺なく孤独で、同時にこんなにも頑丈なものだったんだ。そして、その孤独も強さも、すごくきれいなものだったんだな、と、この映画を見て知った」と結ばれている。
公開された場面写真では、テルコ役の岸井ゆきの、マモル役の成田凌をはじめ、深川麻衣、若葉竜也、江口のりこらメインキャスト陣の劇中での姿が確認できる。
なおTOKYO FMの番組『三井ホーム presents キュレーターズ ~マイスタイル×ユアスタイル~』では、4月19日、27日、5月3日の3回にわたって岸井ゆきの、角田光代が出演。恋愛にまつわる対談を繰り広げる。
■角田光代のコメント
さみしくてきれい
だれかを熱病のように思う気持ちを、「恋」とひとくくりにして呼ぶけれど、その恋にはいろんな種類がある。そもそも好きになる理由も異なる。自分と似ているから好きになる、自分と違うから好きになる。相手の弱さを見て好きになる、相手のようになりたいから好きになる。
映画『愛がなんだ』に登場するテルちゃんが、なぜ田中守をこんなにも好きになったのか、ひりひりするくらいわかって、苦しかった。マモちゃんがかっこいいからじゃない、気が合うからでもない。テルちゃんは同化しちゃったんだ、と思った。みずから知らずに抱えてしまったこんな暴力的な恋は、テルちゃんにとってもはじめてだったろう。
そしてテルちゃんだけではなく、マモちゃん、葉子、ナカハラくん、すみれさん、みんな、自分の抱えた何かを持て余して、しずかに振りまわされていて、なんてまっすぐな人たちだろう。「何か」はきっと若さだ。自分が三十歳のとき、もう若くないと思っていたけれど、今思えばとんでもなく若い。若さとはこんなにも寄る辺なく孤独で、同時にこんなにも頑丈なものだったんだ。そして、その孤独も強さも、すごくきれいなものだったんだな、と、この映画を見て知った。