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五月病の新社会人に宛てたメッセージ 『白衣の戦士!』中条あやみが周囲の人々を変えていく

2019年04月18日 12:11  リアルサウンド

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 中条あやみ演じる新米ナースの立花はるかが奮闘する姿を描く『白衣の戦士!』(日本テレビ系)。第2話でも、相変わらず指導係のベテランナース・夏美(水川あさみ)からダメ出しされる日々が続いていた。何度ダメ出しをされてもへこたれず、貪欲に仕事を覚えようとするはるか。まさに猪突猛進の4文字がそのまま当てはまるようなまっすぐさを持った存在感を発揮する。


参考:『白衣の戦士!』中条あやみが語る、“お仕事ドラマ”への挑戦 「今しかできない等身大の役」


 前半で特に気になるのは、中条の振り切った演技も含めて非常に漫画チックに描かれている点だ。登場人物たちの行動には、さりげない効果音が付与され、漫画の1コマを切り取ったような表情カットを多用。水曜日の22時という週の折り返しに、心を楽にして観られるようなお仕事ドラマになっているのだ。


 そして、今回はるかに恋の兆しが。仕事帰りスーパーに寄ったはるかは、1人鍋セットに手を伸ばしたところ、同じ寮に住む同期の新米ナース・斎藤(小瀧望)の姿を見かける。タダ飯に預かろうと半ば強引に斎藤の部屋に上がり込んだはるかは、雑炊までしっかりと鍋を堪能。たらふくビールを飲み、目が覚めたら同じベッドで一晩を過ごしてしまっていた。結果からいうと何も起きてはいなかったのだが、これを機にはるかの斎藤を見る目に変化が訪れる。


 そしてはるかと夏美が今回担当することになったのは、胃潰瘍で入院してきた真理子(堀田真由)。実は真理子は斎藤の大学時代の元カノで、大学卒業後大手銀行に就職、順風満帆なようだがどこか影がちらつく。真理子はいわゆる五月病。新生活におけるストレスで仕事をやめようかとまで思い詰めている。さらに、真理子にとって病床というのはさらに追い討ちをかける。病に臥せっている時は誰もが心も弱らせてしまう。がむしゃらに頑張ってきた人にとって、「ここまでの道は正しかったんだろうか」と立ち止まって考えてしまう時間を与えてしまうのだ。思い悩む時間は非常に大切だが、タイミング次第ではそれは罪にもなる。


 そんな真理子の心を溶かすのはやはり天真爛漫に仕事に向き合うはるかだった。はるかは言葉で説得するのではなく行動で示していく。終業後に集積所のゴミの山から行員証を探し、何とか見つけ出す。時に悩み塞ぎ込んでしまっている人に対して、セリフは無力に思える。人の言葉に耳を傾ける余裕すら失ってしまってしまうのだ。がむしゃらに仕事に打ち込むはるかだからこそ、その姿は真理子の心を打つ。


 一方、さらにそんなはるかの姿は夏美にも変化を及ぼしていく。前回エリート証券マンの里中(田中幸太朗)とお見合いし、デートを重ねる仲となった夏美。1話では、寿退社を宣言していた夏美だが、最後には結婚しても看護師でいられる人を探すべく、目の前の当たりクジを投げ捨てるという決断を下す。


 はるかの存在が周りの人間に影響を及ぼし始めた第2話。斎藤や夏美との関係性にも注目が集まる。


(文=安田周平)