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「標識見づらかった」で交通違反取り消しに 安全は「摘発」だけでは守れない

2019年04月18日 10:51  弁護士ドットコム

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神戸地裁で3月27日、交通標識が見づらかったとして、交通違反の取り消しを認める判決があった。


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神戸新聞NEXT(3月27日)によると、取り消しを求めていたのは、大型バイクに乗っていた50代男性。2016年11月、県道を走っていたところ、通行禁止違反で摘発された。男性が走った区間は、土日と休日に自動二輪車と原付が通行止めとなっていた。



判決は、カーブを抜けてすぐに設置されていた標識について、1~2秒弱で見えなくなる、などと指摘している。



標識の設置場所が悪いとして、違反が取り消されることはよくあるのだろうか。山田訓敬弁護士に聞いた。



●非常に珍しいケース

ーー裁判で交通違反が取り消されることはよくあるんでしょうか?



「通行禁止違反の場合、反則点数は2点、反則金の金額も普通車なら7000円、二輪車なら6000円です。仮に摘発されても、そのまま処分を受け入れる運転者も多いかと思います。



今回の事件のように、時間もお金もかかる交通違反の取り消しを求める行政訴訟を提起し、さらに判決で実際に処分が取り消されることは、珍しいことといえます」



ーー今回のように標識の正当性を争う場合、どんな部分が検討されるのでしょうか?



「道路交通法施行令第1条の2第1項は、次のように定めています。



『都道府県公安委員会…が信号機又は道路標識若しくは道路標示を設置し、及び管理して交通の規制をするときは、歩行者、車両又は路面電車がその前方から見やすいように…設置し、及び管理してしなければならない』



つまり、道路標識は、歩行者や運転者に『分かりやすく』『見やすい場所』に設置することが必要であり、設置後もその状態を保つように管理しなければ、法律上有効な道路標識ということはできないと考えられます。



報道によれば、今回の事件の判決は、『標識は容易に内容を確認できるように設置しなければならないが、問題の標識は視界に入ってから1秒~2秒で見えなくなる』ことを指摘しています。



道路標識が運転者から『分かりにくい』『見にくい場所』に設置・管理されていたことから、その道路標識は法に適合しない無効のものである、よって運転者に通行禁止違反はないと判断しているものと思われます」



●警察は捕まえるだけで良いの?

ーーネットの反応の中には、見えづらい標識がそのままにされていた背景に、警察に課せられた検挙ノルマがあるのでは、という見解もありました。



「報道によると、今回の事件の道路では、2016年1~10月に計95人が通行禁止違反で摘発されているとのことです。



警察が検挙ノルマを達成するために、分かりにくい標識を放置しているかは分かりません。しかし、これだけ交通違反が多ければ、警察は、道路標識の設置・管理に問題があるということを容易に認識できたはずです。



交通の安全を守る義務のある警察としては、問題のある対応だったのではないでしょうか」



ーー男性の摘発後、カーブの手前には規制予告標識がもうけられたそうです。摘発によって、全運転手の交通意識を引き締めることも重要ですが、折に触れて、標識そのものに問題がないか振り返ることも大切と言えそうです。



(弁護士ドットコムニュース)




【取材協力弁護士】
山田 訓敬(やまだ・くにたか)弁護士
企業法務を中心に企業のトラブル解決に尽力する一方で、個人の交通事故や遺産相続の分野にも力をいれている。特に交通事故事案では、一人でも多くの被害者のお力になりたいとの思いで有志の弁護士らで福岡交通事故相談ダイヤル(無料)を立ち上げその代表を務めています。交通事故相談ダイヤルはhttp://jikosoudan.info/
事務所名:弁護士法人山田総合法律事務所
事務所URL:https://www.yamaben.com/