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福原遥×佐藤大樹×鈴木仁の三角関係が煌めく 『4月の君、スピカ。』は“瑞々しさ”が溢れる恋愛物語

2019年04月18日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 福原遥、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)がW主演を務める映画『4月の君、スピカ。』。描かれるのは、『花のち晴れ~花男 Next Season~』(TBS系)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)への出演で注目を集める鈴木仁を含めた天文部3人による、初々しい三角関係。長野県を舞台にオールロケで撮影された満天の星が、高校生たちの純粋すぎるラブストーリーをキラキラと照らし出す。


 原作は、小学館『Sho-Comi』で連載され、累計発行部数120万部を突破した杉山美和子の同名コミック。主人公・早乙女星(福原)は、地味で暗いと言われ続けて17年。東京から長野への転校の際にリセットを試みるも、初日の挨拶で失言してしまい、計画はあえなく失敗してしまう。


【写真】佐藤大樹の“壁ドン”


 そんな矢先に出会うのが、チャラくて強引な学年トップの秀才・宇田川泰陽(佐藤)と、天文好きで無口な好青年・大高深月(鈴木)。星の名前を聞き、ゆったりとした口調で「乙女座の星・スピカと同じ」と語る深月に、星は初めての恋に落ちる。星は深月に誘われるまま“天文部”に入部するも、もうひとりの部員である深月の親友・泰陽とはぶつかる日々。ところが泰陽は、敵対していたはずの星に、少しずつ惹かれていくのだった。


 この映画を大きく、そして優しく包み込むのが、長野県千曲市の雄大な自然。日本三大車窓とされる「姨捨(おばすて)」の絶景や、ドローンを用いて撮影した千曲川の美しさは圧倒的で、紛れもなく本作の見どころ。もちろん、物語のカギとなる“星”も、嘘偽りなく夜空に輝き、作品を鮮やかに彩る。


 また絶景とともに味わいたいのが、心に染みるセリフの数々。いつもチャキチャキ明るい泰陽の、熱量のこもった本音。落ち着いたトーンで話す深月の、どこかキザなのに説得力のある言葉。そして、人生に空回りしがちの星がサラリと口にする、思わず抱きしめたくなるような可愛い思い。そこには胸キュンセリフも多くあるものの、少女漫画実写特有の“むず痒さ”を感じにくいのも本作ならではといえそう。


 私たち自身、ふだんは言えないような言葉も、旅先などの非現実的な場所では何の気なしに口にできてしまうことがあるもので、本作は全編を通してそれに近い感覚がある。さらには天文学になぞらえて会話を進めることで、セリフのひとつひとつが、よりロマンチックで美しい言葉に感じられるのだ。


 あまりにのどかな自然を背景に物語が進んでいくため、のんびりと映画を見てしまいそうになるが、ストーリー自体はかなりスピーディー。とはいえ、ところどころに「どうして?」と思わせる余白を残しつつ、その答えとなる事実を“謎解き”のように端的に描いていくため、物語がわかりやすいのも魅力だろう。“好き”という気持ちを大切にする登場人物たちだからこそ、こじれてしまう互いの関係。それは星と泰陽、星と深月の恋愛に限ったことではなく、深月と泰陽の友情にも言えること。本作では、そんな男同士の友情も大きなテーマとなっているが、その部分についてもテンポよくバシッと描き切ってくれているため、後味も良い。


 佐藤は、意外にもこれまで披露してこなかった“壁ドン”などの胸キュンシーンを。鈴木は『花晴れ』で印象的だった“超女好き”キャラからはかけ離れた、無口でミステリアスな青年を。また福原は、大人になり切れない女子高生のリアルな心情を映す演技を魅せるなど、フレッシュな俳優陣たちによる、新たな挑戦が詰まっているとも言える本作。キャスト、セリフ、そしてロケーション。『4月の君、スピカ。』は、たくさんの“瑞々しさ”であふれていた。


(nakamura omame)