2019年のFIA-F4岡山 第1戦スタートシーン 4月13~14日、シリーズ創設5年目のFIA-F4選手権が、岡山国際サーキットでスタート。第1戦は佐藤蓮(SRS/コチラレーシング)がポール・トゥ・ウィンで初優勝を飾り、第2戦は三宅淳詞(HFDP/SRS/コチラレーシング)が逆転で、こちらも初優勝を飾った。
2019年のFIA-F4は、昨年チャンピオンの角田裕毅、2位の名取鉄平、3位の小高一斗など、2018年のシリーズランキング上位陣の多くが“卒業”したため、大きく顔ぶれが入れ替わっているのが最大の特徴。誰が主役の座を射止めるのか注目された。
4月2日に富士スピードウェイで行われた公式テストでは、太田格之進(SRS/コチラレーシング)が最速タイムを刻むと、佐藤がこれに続き、HFDP勢の好調ぶりが伝えられていた。
岡山に舞台を移して行われた予選でも、佐藤と太田がタイムアタック合戦を繰り広げた結果、結果、第1戦のポールポジションは佐藤が、そしてセカンドベストタイムによる第2戦のポールポジションは太田が獲得してみせた。
なお、2戦ともに3番手から7番手までは三宅、野中誠太(FTRSスカラシップF4)、菅波冬悟(OTG DL F110)、平良響(FTRSスカラシップF4)、岡本大地(SACCESS RACING F4)と同じ面々がつけている。
ポールポジション争いを繰り広げた佐藤と太田だったが、予選終了後もふたりの表情は冴えず。
「ちょっとセットの方向を間違えたかな、と思ったんですが、ある程度のタイムが出せたので良かったです」と佐藤。
「少しアンダー傾向で、そこを修正しきれなかった。でも、今日(13日の第1戦)はトップから、明日(14日の第2戦)は2番手からスタートするので、とりあえず今日、チャンスをものにして勢いをつけたいですね」
そして太田は、目指す方向の高さゆえか、「なんか情けないなぁ、という感じですね。もっとタイムを出せたのに、うまくまとめきれなくて。結果はともかく、内容にまったく納得できないです」と悔しさをにじませた。
■第1戦:序盤にチームメイトバトル展開も、3周で幕切れ
土曜日に行われた第1戦決勝は、上位が揃ってスタートを決め、いきなり佐藤、太田、三宅によるチームメイト同士のトップ争いが繰り広げられる。
これに続くセカンドグループは野中と菅波で形成。だが、最後まで続くかと思われたトップ争いは、わずか3周で打ち切りとなった。アトウッドカーブで太田と三宅が接触、コースアウトした太田がリタイアとなり、野中の先行を許すもコースに踏み留まった三宅には、ドライビングスルーペナルティが課せられたからだ。
これにより単独走行となった佐藤が、一定の間隔を保ったまま15周を走り抜き、参戦2年目で初優勝を達成。そして、これが正真正銘4輪初レースの野中が2位に入り、菅波が3位でゴールした。
「あまり勝ったという実感が湧かなくて。カートを戦っていたときと同じく、スタートから落ち着いて、自分のペースを刻むということをやっていただけなので」と佐藤。
「ミスも少なくて、周回ごとペースも上げていけたので、自分として点数をつけるなら80点ぐらいですかね。自分にはまだ伸び代があると思っているので、これから100点に近いようなシーズンを通して完璧なレースをしていきたいです」
2位でチェッカーを受けた野中は「運もあったんですが、詰められるところもあったので、初めてのレースとしては、いい内容だったのかなと思っています」と胸中を明かした。
■第2戦:ポールシッター太田が停車位置を間違うミス。最後尾スタートの波乱
翌日の第2戦は、当初の予報で降雨によりウエットコンディションで争われると思われていたが、雨の降り出す時間が予報よりも遅れたため、ドライコンディションで争われた。
そして、第2戦フォーメーションラップではハプニングが発生してしまう。ポールシッターの太田がグリッドを行き過ぎてしまい、後続のドライバーもそれにつられてしまい、停車位置がずれてしまったのだ。
この影響でスタートディレイとなり、太田はスタート手順違反のペナルティを与えられ、最後尾からのスタートを余儀なくされてしまった。
仕切り直されたスタートでは、佐藤と三宅が連なるように飛び出し、さらに1コーナーでは菅波が野中をかわして3番手に浮上。そして8番グリッドから絶妙のダッシュを決めた木村偉織(Silver Star Racing)が5番手におどり出る。オープニングラップは、この5台が連なりあっていたものの、徐々に木村だけが逃げ始めるように。
だが、4周目の1コーナーで追い上げていた太田と、もう1台が接触してコースアウト。4周にわたってセーフティカーが導入される。そしてリスタートからまもなく、まさかの光景が。トップを走る木村に対し、ドライビングスルーペナルティが課せられたのだ。最初のスタート直前に、クルマをわずかながらも動かしてしまったためだ。11周目にやむなくピットへ……。
これにより、トップの座が舞い込んできたのが三宅だった。それでも依然として背後には菅波、野中が続いており、一瞬たりとも予断を許さぬ状態に変わりなし。だが、最後までしっかりガードを固め続け、逃げ切りに成功。三宅が初優勝を飾ることとなった。
「うれしいですけど、本音を言えば実力で、タイムで勝ちたかったですね。予選も両方3番手で、トップを取れていないので反省点は多いです。後半のペースは練習から良かったので、最後は慣れてきて落ち着いていけましたけど」と三宅。
そして、2位でゴールの菅波も「タイヤが温まってきてからのペースがちょっと厳しくて、それでも(追い抜ける機会が)ワンチャンスあれば行こうと思っていたんですけど、それには及ばず……」と、ともに納得のレースではなかったようだ。
次回のレースは5月3~4日、富士スピードウェイが舞台となる。今度はそれぞれが、納得できるようなレース展開を期待したい。