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映画『キングダム』メイキング写真展に見た、ソニーのクリエイターと映画づくりにかける想い

2019年04月16日 12:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 4月19日より全国で公開される映画『キングダム』。原泰久の人気漫画の実写化を裏側で支えた、クリエイターたちの挑戦に迫るメイキング写真展「shot on α(ショット オン アルファ)(TM)」が、3月26日と27日の2日間、東京・六本木ヒルズ 大屋根プラザにてソニーによって開催された。


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 本展では、映画撮影の現場に密着した写真家の菊池修が、ソニーのフルサイズミラーレス一眼カメラ『α9』で撮影した写真を展示。豪華俳優陣が“実写化不可能”と言われた本作に果敢に挑んだ様子や、クリエイターたちが映画作りに励む様子など、撮影現場の臨場感、熱量を共に作品を作り上げてきたソニーが「Beyond the SCENE―クラフトマンシップで挑む、もう一つのキングダム」をテーマに紹介するというものだ。


 『キングダム』は、紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く奴隷の少年・信(しん)と、中華統一を目指す若き王・えい政(えいせい)の姿を中心に描いた歴史エンターテインメント大作。主人公・信役で山崎賢人が主演を務めたほか、玉座を奪われた秦国の若き王・えい政と信の幼なじみで親友の漂(ひょう)の二役を演じた吉沢亮、山の民を武力で束ねる山界の死王・楊端和(ようたんわ)役の長澤まさみ、鳥を模した不思議な蓑を被った山民族の末裔・河了貂(かりょうてん)役の橋本環奈、えい政の異母弟で自分こそが王にふさわしいとクーデターを起こす成きょう(せいきょう)役の本郷奏多、六大将軍最後の一人で得体の知れない人物・王騎(おうき)役の大沢たかおらが共演している。


 写真展では、山崎演じる信と吉沢演じるえい政の激しく剣をかわすシーンや、楊端和役の長澤の戦闘シーン、王騎役の大沢が多くの軍勢を率いるシーンなど、圧巻の写真が並んだ。また、肩を組んだ山崎と吉沢の仲睦まじい様子を捉えたオフショットや、河了貂役の橋本が監督の話に耳を傾ける姿、撮影に挑むスタッフたちの姿を収めたメイキング写真も特別に公開。映画シーンと舞台裏シーンが横並びの『キングダム』写真展で、まるで、映画製作現場にいるような特別な写真体験が味わえた。


 今回、なぜソニーがこのようなイベントを開催するに至ったのか。そこには、“実写化にかけるクリエイターの想い”が隠されている。『キングダム』という漫画は、その絶対的な人気ゆえに、多くの映画人が実写化の可能性を考えてきたが、そのハードルは高く、なかなか映画化されてこなかった。しかし、「そのハードルを乗り越えた先には、世界を驚かすことができるようなコンテンツが作れるはずだと信じて、映画化の挑戦が決まりました」と、ソニーの担当者は今回の実写化について語る。そして、「監督やプロデューサー、俳優の方々はもちろん、美術や衣装、VFXやアクションといった多くのクリエイターの方々のプロフェッショナルな仕事がこの作品に命を吹き込み、見たことのないような映画が生まれたと思っています。このイベントを開催したのは、そういった実写化にかける日本のクリエイターの想いを伝えたかったからです」とイベント開催の背景を説明した。


 彼らのクラフトマンシップを伝える様子は、特別動画でも公開された。原作者の原をはじめ、佐藤監督、プロデューサーの松橋真三、その他多くのスタッフ、キャストにインタビューし、『キングダム』を通して、映画づくりにかける想いが語られた。


 「僕らが本当に作りたいものは何なのか。言語や人種を超えて、限りなく自分たちの手や想像力で、我々にしかできないような独特のテイストが作れるんじゃないかと思った。映画として愛せる『キングダム』を作りたいなと思っていました」(佐藤監督)、「この『キングダム』という作品で、世界マーケットを相手に勝負をして、これが日本映画の新しいスタンダードになるように。この作品の後に、もっとすごいエンターテインメントが出てくる第一歩になればいいなと思っています」(松橋プロデューサー)、「おそらく全員の中で『限界を超えてみたい』というのがあったと思うんです。今できる全てはやったと思う。自分を追い込んで、突き詰めた先にあるのが、俳優というクリエイティブの仕事なんじゃないかな」(大沢)と、撮影を振り返ると同時に、クリエイターとしての強い想いが語られた。そんな彼らの言葉どおり、今回脚本にも携わった原作者の原も、「原作のキャラが実写化されることによって、本当に浮き上がって、さらに命を吹き込まれた感はある。原作よりいいものになっている。本当に嬉しかったです」と実写化の出来に太鼓判を押している。


 原作へのリスペクトを示しつつも、上映時間134分という限られた映画のフォーマットで完結させるに相応しい脚本、日本では実現不可能な中国での大規模ロケによって生み出された迫力ある映像、そして主演の山崎らキャストによる迫力ある“動”のアクションと“静”の演技。まさに“日本映画の新しいスタンダード”となる可能性を秘めた作品だろう。


「ソニーはテクノロジーとエンターテインメントを有する類稀な会社だと思っていますが、新しいコンテンツを作っていくうえでは、ソニーがクリエイターに寄り添い彼らと共に道を歩んでいこくとが欠かせないと思っています。これからテクノロジーにより、エンターテインメント領域においてもイノベーションがもたらされようとしています。ソニーはクリエイターとともに、こういった新たなエンターテインメントの創造にチャレンジしていきたいと思っています。そして多くのお客様がそれを楽しんでいただけたなら、それは新しい文化に繋がっていくのだと信じています」


 今回のメイキング写真展「shot on α(ショット オン アルファ)(TM)」には、このようなソニーのクリエイターに対する想いや考えが込められていた。映画『キングダム』によって、その思いは多くの人々の元へ届くだろう。そしてその反応が、新しい文化を生み出していくきっかけになるかもしれない。


※山崎賢人の崎は立つ崎(たつさき)が正式表記


(取材・文=宮川翔)