アレックス・リンスが、そしてスズキがアメリカズGPでMotoGPクラスの表彰台の頂点に立った。MotoGP第3戦アメリカズGPで、初の最高峰クラス優勝を果たしたリンスは「信じられない!」と喜びを爆発させ、チーム・スズキ・エクスターは3年ぶりの勝利に歓喜した。
リンスは序盤の2戦、追い上げのレース展開を見せていた。開幕戦カタールでは10番手からスタートして4位フィニッシュ。第2戦アルゼンチンGPでは16番手から5位にまで躍進している。こうして見るとレースペースはいいものの、予選の速さに課題があると言えそうだが、同時に追い上げることができるバイクとライダーのポテンシャルがあるとも言える。
リンスはアメリカズGPでは今季ベストとなる7番グリッドを獲得。予選後に「3列目からスタートできてうれしい。レースペースは悪くないよ」と語っている。
その言葉を裏付けるように、リンスは決勝レースの序盤からポジションを上げていった。6周目には4番手にまで浮上すると、ロッシが先行する2番手集団に加わった。
9周目にサーキット・オブ・ジ・アメリカズで無類の強さを誇っていたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が転倒リタイアを喫すると、リンスはロッシに続いて2番手につける。
終盤にはロッシを交わしてトップに立ったリンス。ただ、リンスの背後には、ロッシが離れることなくついていた。プレッシャーからか、リンスは最終ラップでややラインを外すシーンを見せる。
しかしロッシにその座を明け渡すことなく、リンスはついに優勝を飾った。最高峰クラスに昇格して3年目のリンスにとって、クラス初優勝。アメリカズGPは、Moto3クラスとMoto2クラスで優勝経験があるグランプリでもあった。
リンスは自身のクラス初優勝で、スズキに2016年第12戦イギリスGP以来の勝利を贈った。
「信じられない! 今朝のウオームアップで、違ったセットアップを試したんだけど、あまりよくなかったんだよね。だから、レースでは元に戻したんだ。そして、勝てた。本当にすばらしいよ、言葉もないくらいさ!」
「最終ラップは少しだけ苦しかったけれど、プレッシャーをうまくコントロールした。チェッカーを受けたとき、なんとも言えない感情に襲われたよ」
チーム・スズキ・エクスターのテクニカルマネージャー、河内健氏はリンスの優勝を讃え、こう語る。
「ここ数カ月でバイクもアレックスも大きく成長しました。そしてついに、その前進が結果に現れました」
スズキ、そしてリンスが確実な進歩を果たしていることは間違いなさそうだ。スズキの躍進が今後も続けば、2019年シーズンのチャンピオンシップは俄然おもしろくなるだろう。