中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)にとって、MotoGP第3戦アメリカズGPの週末は厳しいものになった。最終的に、中上は10位でフィニッシュ。しかし、その内容は満足できるものではなかった。
2019年シーズンの開幕戦カタールGPで9位、第2戦アルゼンチンGPで7位という結果を残した中上。その結果はもちろんのこと、課題だった序盤のペースの改善や力強いバトルなど、レース内容にも昨年からの進化を見せていた。アルゼンチンGPでは、表彰台を争いを繰り広げる集団を視野に入れたレースを展開した。
「このサーキットは僕たちに合っていると思います。僕たちの強みはハードブレーキングができること。ストップ&ゴーのレイアウトのサーキット・オブ・ジ・アメリカズで、いい走りができるでしょう」と、自信を持って中上はアメリカズGPに乗り込んできた。
ただ、レースウイークは中上の思ったとおりにはいかなかった。初日はバンピーな路面に苦戦。予選日は天候に翻弄された。サーキット・オブ・ジ・アメリカズを激しい雨と雷が襲い、これによりフリー走行3回目がキャンセル。しかし天候が回復したフリー走行4回目からは、予定どおりのタイムスケジュールで進行した。
予選前のセッション1回分を失い、思うように改善することができなかったという中上。Q1から挑んだ予選でQ2進出を逃し、15番グリッドから決勝レースを迎えることになった。
その決勝レース、中上はオープニングラップでポジションを落とす。
「今日はスタートがあまりよくなかったうえに、1コーナーで(ホルヘ・)ロレンソ選手がラインを変更した際にラインが重なってしまい、ポジションを落としてしまいました」
その後は前を行くヨハン・ザルコ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)を交わすのに手間取った。レースペースも想定したほどの速さではなかった。上位陣にクラッシュが相次ぎ、また、終盤には中上自身もペースを上げて10位でフィニッシュ。しかし、納得できる内容ではない。
「終盤に向けてペースを上げていけましたし、もう少し周回があれば8位も可能だったと思います。追い上げているということもありますが、最終ラップにベストラップを出せたのはポジティブでした。10位という結果には満足しています」
「ただ、内容は序盤の2戦に比べてあまりよくはありませんでした。正直、このサーキットは自信があったので、今季ベストを期待していましたが、トップから31秒差の10位というのは、素直には喜べない内容でした」
中上のみならず、アメリカズGPはホンダ勢にとって厳しいレースになった。この地で6年連続優勝し、優勝候補の筆頭だったマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)はトップを走行中にまさかの転倒。チームメイトのホルヘ・ロレンソはマシントラブルでリタイアし、カル・クラッチロー(LCRホンダ・カストロール)も上位走行中に転倒を喫した。ホンダ勢で完走を果たしたのは、中上ただひとりだったのだ。
自身も厳しい週末を送った中上。次戦から始まるヨーロッパラウンドに向けて「次のヘレスは得意なサーキットなので、ベストリザルトを目指します」と気持ちを切り替えた。