雨に翻弄された決勝はアクシデントが多発。#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)が優勝
4月13日(土)~14日(日)、岡山国際サーキット(岡山県)で2019年度スーパーGTシリーズ第1戦が開催され、GT500クラスには5台の2019年型NSX-GT、GT300クラスには3台のNSX GT3が出走しました。
GT500公式予選では昨年のチャンピオンである#1 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン)が3番手、昨年の岡山ラウンドを制した#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット)が4番手、#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也)が5番手と好位置につけました。いずれもコースレコードを破るラップタイムを記録しました。
またGT300公式予選では、#55 ARTA NSX GT3(高木真一/福住仁嶺)がクラスポールポジションにつきました。昨年実戦デビューしたNSX GT3にとって初めてのポールポジション獲得となりました。
決勝日を迎えた岡山国際サーキットは、スーパーGTの決勝レース前に雨が本降りとなり、スタート時にはフルウエットコンディションとなりました。各車レインタイヤを装着してセーフティカースタートによりレースが始まると、3番手にいた#1 RAYBRIG NSX-GT(山本)がスパート、オープニングラップのうちに2番手へ進出し、車両回収のためのセーフティカーランを挟み再スタートした直後はさらに先行車をとらえてトップへ躍り出ました。また#17 KEIHIN NSX-GT(塚越)も2番手につけ、NSX-GTの2台がレースをリードすることになりました。
14周目、雨が強まったコース上でアクシデントが発生し、レースは赤旗でいったん中断となります。レース再開直後、ARTA NSX-GT(伊沢)が前を行くマシンを抜いて3番手に上がり、NSX-GTはワン・ツー・スリー体制となりました。
その後天候がさらに悪化するなか、#17 KEIHIN NSX-GT(塚越)がトップを走る#1 RAYBRIG NSX-GT(山本)に迫り、NSX-GT同士が接近戦を繰り広げます。しかしウォータースクリーンのなか、24周目の1コーナーで接触し、#1 RAYBRIG NSX-GT(山本)は弾き出されるかたちでグラベルへ飛び出して大きく順位を落としました。
この混乱を受けてセーフティカーがコースインしましたが、32周目にコース上で発生したアクシデントのためレースは再び赤旗中断に。大会審査委員会は天候の回復は見込めないとして、ドライバー交代をすることなくレースの打ち切りを決定しました。
レース結果は、赤旗提示前の時点で首位にいた#17 KEIHIN NSX-GT(塚越)に対し、レース結果に34秒加算のペナルティーが科せられたため順位が後退し、ARTA NSX-GT(野尻/伊沢)が繰り上がりでシリーズ開幕戦で優勝となりました。また、ARTA NSX GT3(高木/福住)はクラス2位でレースを終えました。
■コメント
佐伯昌浩 株式会社本田技術研究所 Honda GTプロジェクトリーダー
「悪天候のなか、応援に来ていただいたファンのみなさまに心から御礼をするとともに、予定どおりの周回数でレースをお見せすることができなかったことをお詫び申し上げます」
「タイヤの温まりがよかったようで、セーフティカー明けのペースがよく、ワン・ツー・スリー体制に持ち込むことができました。このようなコンディションではありましたが、今年のクルマのバランスはよかったのだろうと評価しています」
「8号車がまず開幕戦で優勝できたのはよかったと思いますが、ワン・ツー・スリーのままレースを終えることはできませんでしたし、気持ちを引きしめて富士のレースに取り組みます」
野尻智紀(優勝)
「今日は走らないままレースが終わりましたが、非常に長い1日に感じました。今回のレースはウォータースクリーンのなかでちょっとラインを外したら壁にぶつかってしまうという状況で進みました」
「そんななかで伊沢選手がコースにとどまったうえ、前のクルマを抜いてきてくれた結果、優勝できました。僕が同じ立場だったら同じことができたかどうか自信がありません」
「次回は富士でのレースですが昨年のチャンピオンシップを振り返ると富士が一つのポイントになると思うので、いいパフォーマンスを出せるようがんばります」
伊沢拓也(優勝)
「今まで経験したレースのなかでも、今日のレースは雨量とウォータースクリーンがたいへんな方でした。ほとんどなにも見えずどこを走っているのかも分からない状況でしたが、前を走るクルマをうまく抜けてよかったです」
「(ペナルティーによる繰り上がりなので)素直に喜べない気持ちもありますが、予選で5番手に食い込んだことがこの成績につながったのだと達成感もあります。フリー走行や予選を見る限り、今シーズンは3メーカーの実力が拮抗していると感じました。次の富士はNSX-GTにとって難しいコースなので、なんとか昨年以上の成績(第5戦決勝4位)を残したいと思います」